クリミア・コンゴ出血熱 パキスタン
リステリア症 米国、ミートボール・パスタ
○ クリミア・コンゴ出血熱 パキスタン
Summary
2025年、Karachi and Sindh province においてクリミア・コンゴ出血熱による6人の死亡が発生し、特に精肉および動物を取り扱う人々の職業上の暴露に関係する死者が増加している。同ウイルスにより高い致死率と急速な進行がみられることが、人口密集地域のヘルスケアに過大な困難をもたらせている。有効なワクチンがない中、隔離、サーベイランス、公衆衛生対策に頼らざるを得ず、作業中の感染防御と教育が感染拡大防止に重要である。
パキスタン、2025年6例目のクリミア・コンゴ出血熱による死者報告
Key findings
・9月26日、Karachi’s Landhi area の28歳男性の精肉業者が、高熱、咳嗽、息切れ、口腔と直腸からの出血などの重い症状を発症後、クリミア・コンゴ出血熱 Crimean-Congo haemorrhagic fever (CCHF) により死亡した。
・Karachi では2025年の5例目、Sindh province では6例目の死亡例となった。
・9月24日に発症し同日入院したが、数時間で死亡した; PCR confirmed CCHF infection.
・精肉業者として、食肉処理の際に CCHF の感染経路として知られている動物の血液や組織との職業上の暴露、またダニとの接触があった、
・2025年のこれまでに Sindh Province で発生した死者は、17 June and 18 June in Karachi's Malir area, 30 June in Thatta district, 17 July in Malir, and 14 Aug in Malir で確認されており、特定地域に集中がある geographic clustering ことが示されている。
・死亡例には動物及びダニの暴露歴があり、多くが職業上のリスク(精肉業、動物取扱)に関連している。
There is no vaccine for CCHF; isolation and surveillance of contacts are key preventive measures.
参考情報 International Journal of Infectious Diseases 2024年9月
Risk Factors of Crimean-Congo Haemorrhagic Fever in Sindh Province, Pakistan
○● リステリア症 米国
Summary
This event folder documents listeriosis outbreaks in the United States.
リステリア菌汚染のおそれのある調理済みパスタ食品、Walmart and Trader Joe’s で販売
Key findings
・リステリア菌 Listeria monocytogenes による汚染の疑いのあるパスタ pre-cooked pasta が含まれる調理済食品について、The U.S. Department of Agriculture’s FSIS が9月25日に公衆衛生上の注意喚起 a public health alert を発出した。
・2025年6月に報告された Walmart and Kroger stores で販売されたチキン・フィットチーネ chicken fettuccine Alfredo と同じリステリア菌とみられる。
・the CDC reports has caused 20 cases, 19 hospitalizations, and four deaths across 15 states to date.
・問題の食品
“MARKETSIDE LINGUINE WITH BEEF MEATBALLS & MARINARA SAUCE” (twelve-oz trays, Walmart) with best-by dates SEP 22, 24, 25, 29, 30, and OCT 01, 2025, and establishment numbers “EST. 50784” or "EST. 47718".
“TRADER JOE’S CAJUN STYLE BLACKENED CHICKEN BREAST FETTUCINE ALFREDO” (sixteen-oz trays) with best-by dates 9/20, 9/24, or 9/27/2025, and establishment number “P-45288”.
・汚染の原因は FDA-regulated pre-cooked pasta from Nate’s Fine Foods, Roseville, California; リングイネ中の菌 Listeria in linguine pasta が確認されている。
・問題の食品が販売されていたのは major retailers Walmart and Trader Joe’s で全米に流通している。
・リコールは行われていないが、Walmart and Trader Joe’s は店頭から回収した。
・リステリア症 Listeriosis は基本的には高齢者と免疫低下、妊婦、新生児の病気で、発熱、筋肉痛、頭痛、頸部硬直、意識混濁、バランス失調、けいれんなどの症状がみられる。
情報源 Food Safety and Inspection Service (FSIS), 25 Sep 2025
FSIS Issues Public Health Alert For Ready-To-Eat Meals Containing Pasta That May Be Contaminated with Listeria
Summary
リステリア菌による汚染のおそれがあるとして、ミートボール・パスタ certain Walmart meatball pasta meals に関する注意喚起 public health alert が発表された。透明プラスティックのトレーに入って売られていたこの食品は、以前のアウトブレイクと関連する疑いがある。このミートボール入りの食品で検出されたリステリア菌が、以前のアウトブレイクの原因菌に一致した。
● ビブリオ・バルニフィカス 米国 (VIRGINIA)
Summary
牧師がビーチへの旅行後に重症細菌感染症により死亡した。海水に触れた創傷から感染し、急速な経過で重症合併症から死に至る疾患で、気候変動と水のレジャーの増加により、このような感染例が増加している。持病がある人々はよりリスクが高くなる。
● チクングニア 米国 (NEW YORK)
Summary
通常は熱帯地域でみられる蚊族媒介性感染症のチクングニアウイルスによる、地域内感染とみられる症例について、ニューヨーク州保健当局が調査を行っている。このウイルスに感染すると発熱と関節痛を発症するが、これまで州内での感染が報告されたことはない。検査結果の確定と発生状況がモニターが行われており、公衆衛生上のリスクは極めて低いと考えられる。
● 蝿蛆症 (COCHLIOMYIA HOMINIVORAX) ホンジュラス
Summary
2025年、ある寄生虫感染症がホンジュラス全国に拡大しており、保健当局は患者数が増加し、特に小児の感染が多いと述べている。感染症の原因は、開放創に卵を産み付けるハエで、孵化したウジが生体の組織を食む。
● ボツリヌス食中毒 フランス (BRITTANY)
Summary
Brittany, France においてボツリヌス食中毒が確認されていることを受け、the Palacios group が製造するトリティーヤのリコールが発表された。問題の商品は、 the "Itineraire des Saveurs" brand の商品名で Intermarché and Netto stores で販売されていたほか、Carrefour stores ではノーブランド商品として販売されていた。
● 白癬菌 TRICHOPHYTON MENTAGROPHYTES スペイン
Summary
これまで性感染症との関連が認められていた、新たな皮膚の真菌感染症がスペインで確認されている。特殊な型の真菌が原因となり、主に特定の集団が感染し、性行為に関係のある部位に発生することが多い。今回の研究では、性感染が感染拡大の経路で、典型的な感染経路とは異なることが示唆されている。治療効果が得られるまで長期間の治療が必要となっている。
○ 麻疹 米国
Summary
US CDC: 9月23日現在、米国において合計1514例の麻疹が報告されており、このうち1493例が42州から報告された(21例は海外からの旅行者):
Alabama, Alaska, Arizona, Arkansas, California, Colorado, Florida, Georgia, Hawaii, Idaho, Illinois, Indiana, Iowa, Kansas, Kentucky, Louisiana, Maryland, Michigan, Minnesota, Missouri, Montana, Nebraska, New Jersey, New Mexico, New York City, New York State, North Dakota, Ohio, Oklahoma, Oregon, Pennsylvania, Rhode Island, South Carolina, South Dakota, Tennessee, Texas, Utah, Vermont, Virginia, Washington, Wisconsin, and Wyoming
40件のアウトブレイクが報告され、86%の症例がアウトブレイクに関連していた。
比較として2024年のアウトブレイクは16件で、69%(198/285)がアウトブレイク関連症例だった。
92%の症例が、麻疹ワクチンを未接種または接種が確認できない症例だった。
ユタ州とアリゾナ州の麻疹感染96例、Logan のクリニックで暴露後の新生児11人に緊急暴露後治療
Key findings
・Utah and Arizona において全米で最大規模のアウトブレイクが発生し、9月26日時点で 44 confirmed cases in Utah and 52 cases in Arizona が確認。合計96例が両州境周辺 along the Arizona-Utah border region に集中して発生。
・1歳未満の乳児11人が、クリニック the Intermountain Budge Clinic in Logan, Utah において麻疹に暴露したため、緊急暴露後免疫グロブリン治療を受けた。1歳未満の乳児は MMR ワクチンの定期接種を受けられないため、母体からの免疫とコミュニテイの集団免疫に感染防護を頼っていて特に感染しやすく、暴露後治療が重症合併症予防に重要である。
・Arizona's outbreak はほとんどが Mohave County with 48 cases (92% of state total) に集中しており、ユタ州境沿いで発生中のアウトブレイクが反映されている。同時に Navajo County において 4 additional cases が報告されている。
・アリゾナ州で麻疹感染が発生している学区の一部 Some of the affected school districts in Arizona は MMR ワクチンの接種率が著しく低く、Cottonwood Elementary School in Colorado City in Mohave County, the kindergarten rate for the measles-mumps-rubella (MMR) vaccine in 2024-25 was 7.7%, with exemptions to the vaccine at 84.6%. and Masada Charter School reported a kindergarten MMR rate of 40%
・ユタ州は麻疹検出のための下水サーベイランスを実施しており、最近の検査で複数の地区 multiple health districts でウイルスが検出されていることから、臨床的に検知されている以上のコミュニティ内の感染拡大があることが示唆されている。
情報源 Utah Department of Health and Human Services. 26 Sept 2025
Number of Utah residents who have been diagnosed with measles in 2025: 44
○ 原因不明の食中毒 インドネシア
Summary
インドネシアの学校での無料給食プログラムで発生した食中毒アウトブレイクにより、5000例以上の患者が発生した。1月に開始されたこのプログラムが、健康上の懸念から、取りやめの声に直面している。アウトブレイクは主に West Java で発生し、深刻な症状が報告されている。
無料給食に関連する小児の食中毒患者、5000例超に
Key findings
・無料給食プログラム Indonesia’s free school meal program (MBG) に関係する食中毒アウトブレイクの患者は、先週1000例以上増加した。
・学校の生徒や脆弱な人々を中心に、9月21日-27日に報告数が4711例から6453例に増加した。
・先月のイベントでアウトブレイクが加速された。
・全体の症例数は情報源により相違があり、The Indonesian Ministry of Health は 5 207 cases, the Food and Drug Monitoring Agency は 5 320 cases; the Indonesian Education Monitoring Network (JPPI) は6 452 cases as of 21 Sep 2025 と報告している。
・アウトブレイクの多くが West Java (notably Bandung and Cipongkor) で発生しているが Central Sulawesi and other parts of the country からも報告されている。
・食品の汚染や賞味期限切れ、調理時の衛生、保管などの問題に関係している。
情報源 BBC 2025年9月25日
Over 1,000 children fall ill from free school lunches in Indonesia
● Q熱 オーストラリア (VICTORIA)
Summary
オーストラリア Gippsland, Australia の酪農業従事者に対する Q熱ワクチン接種プロブラムは、地域内で多数の感染例が発生しているため、2年間に延長された。15歳以上を対象としており、接種前のスクリーニング検査が必要となる。