● BURKHOLDERIA THAILANDENSIS 中国 (HAINAN)
情報源 Emerging Infectious Diseases(EID)2025年5月21日
Summary
生来健康であった、Burkholderia thailandensis による重症呼吸不全及び敗血症ショックの患者について報告する。通常、非病原性と考えられていた同菌が、重症感染症の原因となり患者は死亡した。持病がなかった症例においても B. thailandensis が重症感染症の原因となるおそれがあることが示された。
原著タイトル
Fatal acute hypoxemic respiratory failure caused by Burkholderia thailandensis, China. Emerg Infect Dis. 2025;31(7).
Burkholderia thailandensis は通常非病原菌 nonpathogenic と考えられているが、(類縁の)B. pseudomallei はもっとも類鼻疽 melioidosis に関係する原因菌 the most clinically relevant species として知られている。
今回、中国・海南省 Hainan Province, China の生来健康であったが、B. thailandensis により急性低酸素性呼吸器不全となり死亡したまれな症例について報告する。
The Institutional Review Board at Hainan General Hospital approved the study protocol.
海南省の中央部の58歳男性のコメ栽培農業従事者が、2019年5月23日に救急室に入院した。原因不明の咳嗽、喀痰、胸部絞扼感、息切れの症状が8日間続いていた。喫煙はしておらず、家族内に同様の症状はみられず、免疫低下もなかった。
His acute physiology and chronic health evaluation II score was 24 and sequential organ failure assessment score was 13 after 1 day of hospitalization.
胸部CT検査では、左肺野の広範囲の高濃度の影と、左胸膜腔の小さな浸潤が認められ、左肺の感染が示唆された。感染症治療として、Tigecycline が処方された。
5月24日に気管肺胞洗浄液が細菌培養検査に提出され、48時間後に短いグラム陰性桿菌のコロニーが形成され、次の検査を行った:matrix-assisted laser desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry profiling (Appendix Figure 2), 16S rRNA-based phylogenetic tree analysis (Appendix Figure 3, panel A), and biochemical identification (Appendix Figure 4) ところ、分離菌は B. thailandensis strain HNBT001 と同定された。
全遺伝子配列解析 Whole-genome sequencing using Illumina and Pacific Biosciences pipelines により、the B. thailandensis strain consisted of 2 circular sequences: a 3,929,948-bp chromosome and a 2,858,975-bp chromosome (GenBank accession no. GCA_048688115.1)... 以下文献参照願います。
抗生物質感受性検査の結果に従い、imipenem に変更したところ2日目に症状が軽減した。しかし人工呼吸器装着にもかかわらず血中酸素濃度が徐々に低下し、多臓器不全となり、肝臓の多発性病変、脾腫、血小板数減少、血性クレアチニン上昇を伴う急性腎不全の所見が現れた。さらに6病日目に末梢性浮腫も出現した。持続的な臨床的増悪があり、患者はそれ以上の治療を行わないことを選択し、8病日目に退院した。入院中、5日間の Imipenem 投与が行われた。退院後3日目に死亡した。
B. thailandensis は非病原性と考えられており、熱帯/亜熱帯環境の特に湿った土壌と水に存在する。
References
● 手足口病 ベトナム (HO CHI MINH CITY)
Summary
ホーチミン市で手足口病の患者が増加している。主に幼児が罹患するこの疾患は腸管ウイルスが原因で、ものや濃厚接触を介して感染が拡大する。発熱、口腔内の潰瘍、発疹などの症状がある。重症合併症の危険があるが、死亡例は発生していない。台湾で開発されたワクチンの効果が期待されており、承認が待たれている。
● 麻疹 メキシコ
Summary
2025年、メキシコで麻疹アウトブレイクが発生している。多数の州に感染が拡大しているが、大部分が1つの州に集中している。
● クレブシエラ KLEBSIELLA AEROGENES 感染症 ベルギー
SEQUENCE TYPE 117, FOLLICULITIS, MEN HAVING SEX WITH MEN
Summary
ベルギーの MSM 間の、クレブシエラ菌による皮膚毛のう炎の集団感染について報告する。患者らは初期治療後も感染が反復した。これらのグループにおいて同タイプの毛のう炎が新興した可能性があり、菌の特徴、感染リスク因子、感染拡大の可能性について詳しい調査が必要である。
● アフリカ豚熱 ベトナム (NAM DINH)
Summary
Nam Dinh province が、2つの地区の2つのコミュニティで発生のあったアフリカ豚熱アウトブレイクの封じ込めに努めている。
● 口蹄疫 インドネシア
Summary
犠牲祭を前に政府当局は、口蹄疫からウシを守る準備を開始した。ワクチンの接種が推奨されている。このほか、家畜の移動を監視し、犠牲祭の家畜には購入する場所でのワクチン接種を義務化している。