2025年6月11日

エムポックス トーゴ、ガーナ、アフリカ、シエラレオネ
◎ Q熱 南北アメリカ

● エムポックス トーゴ、ガーナ、アフリカ、シエラレオネ(4件)
トーゴ (LOMÉ) 
Summary
トーゴの首都でエムポックスの患者が確認された。

ガーナ
Summary
ガーナでエムポックスの報告が増えており保健当局者が対応に追われている。

アフリカ
Summary
アフリカのエムポックス発生状況として少数の国に確定患者が集中していると、アフリカ CDC が報告した。ワクチンの配布について話し合われている。

シエラレオネ: (WESTERN) 
Summary
Freetown でエムポックスが増加している。The Western Area がもっとも深刻な状況にある。政府はワクチンを確保した。

◎ Q熱 南北アメリカ
 情報源 Frontiers in Public Health 2025年6月8日
原著タイトル Unveiling Q fever in Latin America: beyond occupational risks to vulnerable populations and environmental transmission. Front Public Health. 2025;13:1571557.
Summary
Q熱はその症状が多彩であるため、診断が難しい。従来から職業上のリスクと関連していたが、ラテンアメリカでの研究では、自然環境での感染伝播があり、脆弱な人々に影響があることが示されている。

Q熱はすべての大陸で報告されているが、世界的に顧みられない疾患である。ヒト・動物のいずれにおいても臨床症状が非特異的であることに加え、疫学状況が複雑で多彩であることから、疑って診断することは、とりわけ難しい。
病原菌の Coxiella burnetii は、多くの宿主 many possible domestic and wild hosts、複数の感染経路、環境中の年余にわたる生存能力を有する。主な感染経路は空気感染で、たった1個の感染細胞によりヒトも群れ全体も感染させることができる。
オランダとオーストラリアのアウトブレイクは世界を覚醒させ、ウシ、ヒツジ、ヤギの生産が経済の要となっているラテンアメリカでの研究につながった。研究の半数が過去4年間に発表されており、大陸での研究の進歩が反映されているが、データが不完全であり、ベリーズ、コスタリカ、グアテマラ、ガイアナ、ホンジュラス、スリナムなどの国々は未だ報告がない。
胎盤や出産時の体液を扱うラテンアメリカの農村部の労働者や獣医師の感染率は高く from 1.7 to 61% に及び、各国の調査のデータ:ブラジル Brazil (1.7-29%), コロンビア Colombia (23.6-61%), エクアドル Ecuador (43%), and トリニダード・トバゴ Trinidad and Tobago (4.4-4.6%) に基づく数値である。反芻動物の蔓延率 prevalences ranging from 0.22% to 60.6% が報告されており、アルゼンチン Argentina (0.22-7%), ブラジル Brazil (1-55%), チリ Chile (1.4-2%), コロンビア Colombia (0.46-27%), コスタリカ Costa Rica (1.8-7.7%), エクアドル Ecuador (14.5-53%), エルサルバドル El Salvador (26%), 仏領ギアナ French Guiana (1.7-14%), グアテマラ Guatemala (9%), メキシコ Mexico (10-28%), パラグアイ Paraguay (45%), トリニダード・トバゴ Trinidad and Tobago (4-9.4%), ウルグアイ Uruguay (10-11.5%), and ベネズエラ Venezuela (60.6%) のデータに基づいて報告されている。これらの数字は、ウシ、ヒツジ、ヤギの流産と繁殖力低下に関連しており、地域経済に大きな影響を与えている。
動物を飼育する農場から離れたブラジル・サンパウロ州 the state of São Paulo, Brazil の大都市 large cities 在住の、デング熱が疑われた患者のうち 21% (129 of 604) of suspected dengue patients が、間接免疫蛍光アッセイ indirect immunofluorescence assay (IFA) で急性 Q熱 Acute Q fever と診断されたことから(家畜以外からの)他の感染源の可能性と、風によってより広い範囲に芽胞が飛ばされた可能性が考えられた。
英国では、厚紙工場の従業員のアウトブレイクが報告され、汚染のあるわら contaminated straw boards からの感染が起きており、感染動物の関与なしに、環境中での汚染でも十分に発症しうることが示された。
仏領ギアナとブラジルの収容所での Q熱の事例においても、疫学上の疑問が生じており、患者らには動物との接触歴はなく、家畜の飼育エリアから遠く離れていた。芽胞同様の耐容性のため、C. burnetii は、不適な環境条件においても40か月以上感染性を保ち続けることができる。収容所内で、野生動物、イヌ、そしてラットも保有動物である可能性があると示されている。
Q熱の疫学として、性感染によるヒト-ヒト感染伝播についての理解も十分ではなく、特に女子刑務所では考慮する必要性がある。
コロンビアの原住民 Indigenous communities in Colombia, ホームレス homeless populations, and ブラジルのアフリカからの子孫 Afro-descendant communities (quilombolas) in Brazil のそれぞれの蔓延率 Q fever prevalences of 35% (53 of 150), 23% (44 of 200), and 15% (30 of 203), respectively であった。仏領ギアナの刑務所の収容者において、the world's highest incidence of Q fever が報告されている。
ブラジル Rio de Janeiro の血小板増多症と関節炎の患者が C. burnetii が感染すると、これまでに知られている肺炎と心膜炎以外の臨床症状 its clinical breadth beyond pneumonia and endocarditis を発症した。注射薬物使用者、新兵訓練中の軍消防士、警官と警察犬の感染も報告されており、新たな感染源となりうることが示唆される。
理論上、都市化、旅行、自然が残る地域へのヒトの侵入などが菌 C. burnetii への曝露を増すと考えられるが、ラテンアメリカにおける野生動物の保有腫や環境での発生についてのデータは限られている。
Figure 1 [see source URL above. - Mod.LL], which visually compares Q fever seroprevalence across different population groups in Latin America.
注目すべき点として、高感染率が認められたのは農村部の労働者だけではなく、都市部、収容所、その他の人々でも観察されている。このことは以前からある Q熱は農村部または職業上の環境に限られるとの仮説に反し、人獣共通感染に加え、環境または食品関連の曝露もあることを支持する。
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結論として、感染源である反芻動物から遠く離れた場所において、また既知の臨床症状と大きく異なる Q熱も存在する exists far beyond ruminants と確信する。

● ラッサ熱 ナイジェリア
Summary
2025年1月から5月後半にかけて、ナイジェリア国内の複数の州でラッサ熱が増加している。確定された患者の大部分が少数の地域に集中し、他州にも拡大している。死亡例が発生し、致死率は前年より高率となっている。21歳から30歳の年齢層の感染が最も多く、医療従事者の感染もおきている。

● 食中毒、黄色ブドウ球菌 タイ (PRACHIN BURI)
Summary
東部の学校で食中毒アウトブレイクが発生した。感染源は手指の汚染のある a food vendor で、食品と患者の検体で細菌が確認された。多くの患者が入院したが、ほとんどはその後退院した。

● デング熱 マリ (BAMAKO, SIKASSO) 
Summary
マリ国内でデング熱が急増し、保健当局が公衆衛生上の注意喚起を行った。

● バベシア症 中国、米国から
Summary
中国で初めて報告された、ヒトのバベシア症輸入感染例について報告する。米国から帰国した旅行者で、発熱と貧血の症状が見られた。血液検査と PCR 検査で診断が確定した。治療により完治した。

● 腸チフス、パラチフス 英国、渡航者
Summary
記録的な数の渡航関連の腸チフス及びパラチフスが保健当局から報告された。腸チフスにはワクチンがあるが、パラチフスワクチンはない。

● 麻疹 米国 (ARIZONA, CALIFORNIA, OKLAHOMA, MONTANA)
Summary
アリゾナ州で渡航関連の感染が確認された。カリフォルニア州では海外渡航歴のない患者が確認された。オクラホマ州で感染例の増加が確認されている。モンタナ州でも感染例が確認された。

● 結核 カナダ: (QUEBEC) 
Summary
Nunavik 市長が地域内の危機的な結核発生状況を受け、公衆衛生の緊急事態宣言を要求している。

● 腺疫、類鼻疽 フィリピン: (SIQUIJOR) Summary
Siquijor において保健当局が腺疫と類鼻疽の発生を確認し、いずれもヒトおよび動物に感染する可能性がある。

● 狂犬病 フィリピン (ILOILO) 
Summary
ヒトの狂犬病感染による死亡をなくすため、多くの犬へのワクチン接種が行われた。

● 鳥インフルエンザ 日本(鹿児島県)、H5N2, WOAH
Summary
日本における鳥インフルエンザ再興についての緊急報告。2025年4月に野鳥の感染が開始し、継続していると見込まれる。H5N2 ウイルスによるもので、感染源は不明

● 外来種アリ 米国 ASIAN NEEDLE ANTS 
Summary
刺されると危険な外来種のアリ Asian needle ants が全米に拡大している。アレルギーがある場合、アナフィラキシーショックをなる可能性があり命の危険がある。小型で隠れるため見つけにくい。競合する種を駆逐し、種子の散布を妨げることで森林環境に長期的ダメージを与えるため、自然環境に対して負の影響を与える。

● ブドウの病気、UNDIAGNOSED MILDEW スペイン (ANDALUSIA)
Summary
Andalusia のブドウに真菌感染症が拡がり、特に moscatel grapes の収穫量が大きく減っている。春の気候が真菌に好適条件となり、対策が取られているが拡大が続いている。

● 口蹄疫 パキスタン (PUNJAB) 
Summary
口蹄疫が the Punjab region の農業関係者にとって深刻な問題となっている。広い地域に拡大し、家畜が失われている。農家はワクチン接種などの当局のサポートがないと訴えている。