重症熱性血小板減少症候群 日本(茨城)、関東初
● 重症熱性血小板減少症候群 日本(茨城)
情報源 The Asahi Shimbun 2025年6月23日
Summary
関東地方でははじめてとなる、致死性のダニ媒介ウイルスが同地域の飼いネコで確認された。ネコはその後死亡し、検査でウイルスが確認された。専門家は感染リスクの増加について注意を呼びかけており、予防対策が重要であると述べている。このウイルスは通常西日本から報告されていたが、感染地域が拡大している。
1st tick-borne virus infection of pet cat reported in Kanto
茨城県で飼いネコが、ダニが媒介し死亡する可能性のある病気に感染していたことがわかった。関東地方では、はじめての報告とみられる。その後死亡したこのネコは、5月に重症熱性血小板減少症候群ウイルス the severe fever with thrombocytopenia syndrome (SFTS) virus 検査で陽性と確認された。同じ月に、入院中のネコを治療した三重県の獣医師も SFTS で死亡している。SFTS の症状は、発熱、嘔吐、下痢で、ヒトの致死率は30%、ネコでは60%に上る。感染は主に西日本で報告されている。
関東地方において、はじめての感染が確認されたこのネコは1歳の雌ネコで、屋内で飼育されていたが、4月下旬に一時屋外に逃げだし、耳の中に多数の小さいダニが付着していたため、近くの動物病院を受診した。
ダニは除去されたが、5月9日、40.9℃の高熱、食欲不振、嘔吐の症状がみられ、翌日には黄疸を発症し、獣医師は SFTS を疑い12日に県当局に連絡した。当局は採血検査を行い、SFTS ウイルスが確認された。飼い主が自宅の an isolation cage で看病していたが、12日に死亡した。
県によると、今回の症例を含め6匹のネコと2匹のイヌについてこのウイルスの検査が行われ、ウイルス陽性となったのは今回が初めてであった。
衛生研究所 the Japan Institute for Health Security によると、2013年に日本ではじめてSFTS infection cases が確認されて以来増加が続いており、 from 2021 to 2024 は毎年100例以上、2023年には 134 infections が記録されている。ヒト以外でも、ネコやイヌの感染はほとんどが西日本で発生しているが、2021年に愛知と静岡、2022年に富山で確認されるなど、中部地方にも感染が拡大している。
関東地方と北日本ではこれまで公式にヒト、ネコ、イヌの感染は報告されていなかった。唯一2017年に千葉県の70代の男性の感染が確認されているが、感染が明らかになったのは4年後だった。
● 狂犬病 東ティモール、ヒト・イヌ・ヤギ・ブタ
Summary
東ティモールの狂犬病アウトブレイクのフォローアップ報告。2024年2月に開始し全国で発生がみられている。感染源は不明だが、違法な動物の持ち込みの可能性がある。
● 中毒 台湾 (TAIPEI)、プロポフォール
Summary
不眠症の未承認治療 "milk injection" を受けた台湾のモデルが死亡した。クリニックにおいて、強力な麻酔薬のプロフォポールを使って行われた。医師は、免許を持たない助手に患者のケアを任せ、注射手技のエラーが緊急事態につながった。モデルは意識不明のまま病院に搬送され、その後死亡した。
● エンテロウイルス 中国 (HONG KONG)
Summary
香港の10歳女児が、重症エンテロウイルス感染症のため入院となった。発熱、頭痛、嘔吐の症状で入院した。検査でエンテロウイルスが確認され、髄膜炎と診断された。
● レプトスピラ症 インドネシア (YOGYAKARTA)
Summary
Sleman Regency において、レプトスピラ症と呼ばれる細菌感染症が確認されている。ラットの尿などで汚染された環境から感染する。保健当局は蔓延が深刻な地域を特定している。
● 淋菌、耐性菌 カナダ、カンボジアから
Summary
カナダで多剤耐性淋菌感染症の患者が確認された。同菌は、セフトリアキソン、セフィキム、アジスロマイシンに耐性で、カンボジア旅行中に感染したものとみられている。
● 百日咳 コロンビア (MAGDALENA)
Summary
辺鄙な先住民族コミュニティ内の百日咳アウトブレイクに医療チームが対応している。隔絶された地域のため、空路で移動した。検体採取、症状のあるものの治療、ワクチン接種が行われた。
● 麻疹 メキシコ (CHIHUAHUA)
Summary
州内の広い地域に麻疹アウトブレイクが拡大し、多数の都市から感染が報告されている。入院例や死亡例も報告されているが、多くは回復した。州内は他の地域に比べて深刻なアウトブレイクとなっている。
● ボツリヌス症 英国 (ENGLAND)
Summary
North East England において美容施術に関係するボツリヌス症の患者が急増しており、調査が開始された。ボトックスの偽薬の使用が関係するとみられている。
● エムポックス ガーナ (WESTERN)
Summary
The Western Regional Health Directorate はエムポックスアウトブレイクと母胎死亡の増加に関する緊急対応チームを再稼働した。the Effia Nkwanta Regional Hospital を含む医療施設の改善などが求められている。母胎死亡の要因として、治療の遅れと不十分なインフラがあげられている。
● 鳥インフルエンザ カンボジア (TAKEO) HPAI H5N1
Summary
カンボジアの家きんの鳥インフルエンザアウトブレイクに関するフォローアップ報告。H5N1 ウイルスが原因となっており、2024年7月にはじめて再興が確認された。新たに家きんの発病や死亡が認められた a village in Takeo province でのアウトブレイクが確認された。
● アフリカ豚熱 フィリピン (CAMIGUIN)
Summary
アフリカ豚熱感染拡大を防止するため、ブタの移動と養豚作業がより厳格に実施されている。
● 小麦の病気、BLAST DISEASE 欧州
Summary
真菌が原因となる小麦の病気 Wheat blast が深刻な経済的脅威となっている。分子学的には確定されていないが、地域当局がこの真菌を報告しており、有効な対策はない。