2025年6月25日

オロプーシェ熱 南北アメリカ、WHO

● オロプーシェ熱 南北アメリカ
 情報源 World Health Organization (WHO) 2025年6月10日
Summary
the World Health Organization による、オロプーシェウイルス the Oropouche virus (OROV) の発生、拡大および健康に及ぼす脅威に焦点を当てたリスク評価の報告。このウイルスはヌカカの刺咬により伝播され、南北アメリカのアウトブレイクの原因となっており、最近症例数の増加と発生地域の拡大を伴っている。今回、感染伝播サイクル、各種ベクターの役割、新たなウイルス系統株の発生について議論する。また、垂直感染と性感染、さらに血液製剤の安全性についても検討した。本研究により、さらなる調査の必要性が明らかになり、対象としてベクターの生態、保有動物、妊娠の転帰への影響も含まれる。

Risk evaluation of Oropouche virus and its reassortants
オロプーシェウイルス Oropouche virus (OROV) 及び再集合ウイルス its reassortants のリスク評価を行い、コントロール対策のためのエビデンスと、理解が不足する分野、現在循環するウイルスによる公衆衛生上のリスクを明らかにする。
Emergence, epidemiology and transmission
Oropouche virus (OROV) ウイルスは、オロプーシェ熱の病原ウイルス the causative agent of Oropouche fever であり、オルトブニヤウイルスに属する節足動物媒介性ウイルスの1つ an arbovirus (arthropod-borne virus) that belongs to the Orthobunyavirus genus within the Peribunyaviridae family and the Orthobunyavirus oropoucheense species である。
1955年にトリニダードトバゴ Trinidad and Tobago で発見され、中南米カリブ地域の 30件のアウトブレイク epidemics within Central and South America and the Caribbean between 1960 and 2009 に関係し、少なくとも50万人が感染した。従来、ほとんどのアウトブレイクは within the Amazon region で発生している。
2023年後半以降、OROV アウトブレイクは、常在地域での発生頻度が増し、新たな地域に感染が拡大している。2024年の疫学データでは、ブラジル(全24州で報告あり)、キューバ、ボリビア、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、パナマ、ペルーなどにおいて、感染例の増加と、一部地域での初報告を含む発生地域の著しい拡大が示されると同時に、イタリア、スペイン、ドイツでは、キューバとブラジルへの渡航歴のある症例も報告されている。
OROV は、ヒトを含む感受性のある脊椎動物宿主 susceptible vertebrate hosts の間で、節足動物の刺咬により循環する。
脊椎動物宿主において、ベクターが媒介する感染伝播サイクルは2種類確認されている: epidemic cycles(流行サイクル)and sylvatic cycles(森林サイクル)。epidemic cycles においてヒトは増幅宿主 the amplifying host となる。Sylvatic cycles には動物宿主が関係しており、sloths(ナマケモノ)and a marmoset(マーモセット)から OROV が分離されているほか、非ヒト霊長類、げっ歯類などの複数種や、ヒトのアウトブレイク発生中の野鳥や家きんでも血清学上の感染の証拠が得られている。
OROV は主に南北アメリカに広く分布するヌカカ Culicoides paraensis, a biting midge が伝播し、赤道付近の地域においては都市部及び周辺地域で通年の感染伝播がある。
感染性のベクター the vector competence of Culicoides species (spp.) が限られているかどうかは明らかではない: Culicoides spp. other than C. paraensis は世界中の広い地域に存在し、気候変動の影響が、動物のウイルスである Schmallenberg virus, Akabane virus, Aino virus, African horse sickness virus and bluetongue virus も伝播するこれらのヌカカによるリスクを高めている可能性がある。Culex quinquefasciatus など、感染伝播能を有する可能性のあるベクターの影響についてもさらなる研究が必要となる。
pre-2024 experiments で蚊族は an important role in Oropouche fever transmission を果たす可能性は低いと A recent systematic review で報告されている。
ヒトの感染例の大部分が the Culicoides spp.ベクターの刺咬による感染であるが、ヒトにおいて少数の垂直感染と先天性感染の可能性が疑われる例が、最近のアウトブレイクで確認されている。胎盤内の OROV が確認されているほか、精液中でもウイルスが検出されていることから性感染の可能性も示唆されている。
ただしこれまでのところ、性感染伝播は報告されていない
ヒトの OROV アウトブレイクは、典型的にはベクターが増える雨期のあとの、熱帯及び亜熱帯地域で発生する。系統発生学的解析では、most OROV movements はベクターの飛行範囲に一致する狭い範囲であることが示唆されているが、未知の保有種が関係する可能性も残されている;different OROV lineages can be found circulating within concurrent outbreaks, as has been observed in Brazil and Peru . 
Circulating OROV lineages
これまでに報告されている系統には 2種類 main lineages/reassortants がある: BR-2015-2024, circulating in Brazil and Cuba, and PE/CO/EC-2008-2021, circulating in Peru and Ecuador. コロンビアではいずれの再集合ウイルスも報告されている。
OROV encodes a single-stranded RNA genome that consists of 3 segments: small (S), medium (M) and large (L). Reassortment of these 3 segments occurs regularly; typically, the S and L segments (coding for nucleocapsid protein and RNA polymerase) are inherited together, while the M segment (coding for viral glycoproteins) can be swapped. 
再集合に加え、ウイルス遺伝子、とくに M gene の変異により進化するため、the M segment は抗原シフトやドリフトの重要な決定因子 an important determinant of evolution via both antigenic shift and drift under selective pressure となる。
Vector distribution and competence
Vector control
Vertical transmission and sexual transmission risk
Blood safety
Immune evasion
Clinical disease
Diagnostic considerations
Therapeutic considerations
Preparedness and recommended studies
References

● 手足口病 マレーシア (KELANTAN) 
Summary
Kelantan において今年上半期に手足口病患者が著しく増加している。患者数は増加が続いているが、最近の数週間は減少傾向がみられている。患者の大部分が幼児で、多くのアウトブレイクが幼稚園、プレスクールなどの保育施設から報告されている。通常、1週間から10日程度で治癒し、重症例や死亡例は報告されていない。

● 鳥インフルエンザ、ヒト カンボジア (SIEM REAP, SVAY RIENG) H5N1
Summary
保健省がヒトの鳥インフルエンザ A (H5N1) 感染例について報告した。感染源の特定と感染拡大防止のための調査が行われている。

● A型肝炎 オーストリア、チェコ、ハンガリー、スロバキア
Summary
欧州の人気の旅行先への渡航者らの A型肝炎アウトブレイクが発生している。欧州保健機関は、感染伝播経路の調査、対象者へのワクチン接種計画、周知などを推奨している。

● 腸管出血性大腸菌 EHEC フランス): (HAUTS-DE-FRANCE)
Summary
フランス北部で食中毒アウトブレイクが発生し、1名が死亡し、小児を含む多数の患者が確認されている。複数の精肉店の肉食品の摂取が関連している。保健当局は原因が大腸菌であることを確認しており、感染源を特定する検査が続けられている。関係する各精肉店に共通のサプライヤーは認められていない。

● レジオネラ症 オーストラリア (NEW SOUTH WALES) 
Summary
シドニーのレジオネラ症アウトブレイクが続いており、当局が原因調査を続けている。

● 麻疹 米国
Summary
米国内では複数の州で麻疹アウトブレイクが発生し、今年は例年の確定患者数を上回っている。複数州がアウトブレイクを宣言し、海外旅行に関係する感染例が多い。

● ハンタウイルス インドネシア
Summary
インドネシアからの報告で、げっ歯類からヒトに感染する疾患のハンタウイルスが発生していることが示された。複数の地域 provinces で感染例が報告され、発熱や身体の痛みなどの症状が報告されている。

● デング熱 ベトナム、フィリピン(2件)
ベトナム (HO CHI MINH CITY) 
Summary
ホーチミン市では昨年に比べてデング熱が著しく増加し、多数の小児が入院し危険な状態となっている。医療関係者らが重症例の増加を確認しており、深刻な合併症の治療が行われている。雨期の開始時期が早まり、アウトブレイクが悪化するおそれがある。

フィリピン
Summary
デング熱の感染例の増加はあるがコントロール可能な状況と、保健当局が報告している。学校などで公衆衛生教育が行われている。

● 鳥インフルエンザ、ヒト 中国 (HENAN, SICHUAN, HUNAN, SHAANXI) H9N2, H10N3
Summary
The A(H9N2) cases はいずれも治療により回復し、家きんとの接触が確認された。
The A(H10N3) case は現在も治療中であり、接触者のインフルエンザ検査は陰性だった。

● マラリア ナイジェリア (LAGOS)
Summary
Lagos State は西アフリカで初めてのマラリア根絶地域となることを目指している。

● 口蹄疫 南アフリカ (NORTH-WEST, KWAZULU-NATAL, GAUTENG, LIMPOPO) 
Summary
4つの州で口蹄疫アウトブレイクが確認された。政府当局がワクチン購入のための資金を提供し、最初のバッチによるワクチン接種が開始されている。

● 家きんの病気、AVIAN INTESTINAL SPIROCHETOSIS: BRACHYSPIRA SPECIES
Summary
Scientists are warning of an increasing threat from a poultry disease that may be spreading to humans. Research highlights the growing risks to global food security and the need to protect both animal and human health. 
The disease, avian intestinal spirochaetosis (AIS), primarily affects poultry but can also infect swine. While the disease and its causative agents are understudied, recent reports have raised concerns about its potential to spread to humans. 
Current treatments face challenges due to antibiotic resistance and regulatory restrictions. 

● コウモリリッサウイルス (EBLV)  英国(ENGLAND)
Summary
the Isle of Wight において、1頭のコウモリの狂犬病ウイルス検査が陽性となった。ガーデン内で傷ついた状態で発見され、住民とコウモリ病院関係者が触れていた。コウモリは安楽死処分され、検査でウイルスが確認された。ヒトや他の動物への感染伝播の証拠はないことが確認されている。英国内でコウモリからこのウイルスに感染するリスクは著しく低い。

● アフリカ豚熱 フィリピン (SURIGAO DEL NORTE)
Summary
Socorro, Surigao del Norte の複数の村で、アフリカ豚熱の調査のための血液採取が開始された。複数の村で感染が確認されたことを受け、現地当局が感染拡大防止に努めている。

● イネの病気、FUNGAL FOOT ROT インド (HIMACHAL PRADESH)
Summary
the lower regions of Sirmaur district において、Foot rot disease のバスマティ・ライス the Kasturi Basmati rice crop への影響が不安視されている。種子の汚染と感染対策不足が原因となっている。