鳥インフルエンザ、ヒト カンボジア H5N1 WHO
● 鳥インフルエンザ、ヒト カンボジア H5N1 WHO
Summary
7月上旬、カンボジアの複数のヒトの H5N1 鳥インフルエンザ感染例が WHO に報告された。病気の家きんとの曝露に関係していた。一般市民の感染リスクは低いと考えるが、職業上のウイルス曝露のリスクは軽度から中等度と評価する。
情報源 WHO 2025年7月5日
状況の概要
2025年1月1日から7月1日までの間、11例のヒトの鳥インフルエンザ A H5N1 ウイルス感染が、カンボジア当局から世界保健機関(WHO)に報告され、7例が6月に報告された。鳥インフルエンザA(H5N1)は2003年12月にカンボジアで初めて検出され、当初は野鳥に感染してたが、その後カンボジアではインフルエンザA(H5N1)によるヒト感染が83例報告されており、うち49人の死亡(致死率[CFR] 59%)が報告されている。
鳥類の間で循環が続いていたが、2014年から2022年までヒトへの感染例は報告されていなかった。
2023年2月にヒトの感染が再興し、合計27例が報告され (2023年6例、2024年10例、2025年これまでに11例)、うち12例が死亡した (CFR 44%)。17例は18歳未満の感染例である。
状況の説明
2025年1月1日から7月1日までの間に、カンボジア当局は、検査で確定診断された11例の鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス(clade 2.3.2.1e、旧 2.3.2.1c)によるヒトの感染例をWHOに報告した。
シェムリアップ州(4)、タケオ州(2)、コンポンチャム州(1)、コンポンスプー州(1)、クラティエ州(1)、プレイベン州(1)、スバイリエン州(1)から報告され、死亡例6例(CFR:54%)が報告されている。2025年に報告された症例総数のうち、7例は2025年6月に報告された。
11例のうち、5歳未満が3例、5歳から18歳が2例、18歳から65歳が6例報告されている。
いずれの症例も、多くの場合庭先飼育の病気の家きんとの接触がに関与していた。
2023年2月にカンボジアでA(H5N1)ウイルスによるヒトへの感染が再燃し、これ以降、カンボジアで検査で確認された鳥インフルエンザA(H5N1)によるヒトへの感染例は27例が報告されており、うち死亡者12名(致死率44%)が報告されている。
地域別:コンポンチャム州(1)、コンポンスプー州(1)、カンポット州(3)、クラティエ州(3)、プレイベン州(6)、スバイリエン州(4)、シェムリアップ州(5)、タケオ州(4)の8つの州から報告されている。
Epidemiology
Public health response
WHO risk assessment
WHO advice
● 食中毒 日本(千葉)、サポウイルス
Summary
千葉市の弁当販売店が食中毒の感染源となっており、日替わり弁当を食べた客らが発病しウイルスが検出されている。市保健当局が同店がアウトブレイクの原因であることを確認し、一時的に営業停止処分となっている。
情報源 千葉市 2025年7月4日発表より
千葉市で発生した食中毒のお知らせ (7月4日公表)
1.概要
令和7年6月27日(金曜日)、市内医療機関から「下痢などの消化器症状を呈して入院した患者より、会社で注文した仕出し弁当を食べた複数人が同様の症状を呈しているとの情報を得た」旨の通報がありました。
調査の結果、6月19日(木曜日)または20日(金曜日)に市内仕出し弁当店で調理、提供された弁当を喫食した3グループ88人のうち15人が21日(土曜日)6時00分頃から下痢、吐き気、発熱等の食中毒様症状を呈したことが判明しました。患者15人のうち12人および従事者3人からサポウイルスが検出されたこと、患者の症状および発症までの潜伏期間が同ウイルスによるものと一致したこと、同ウイルスが原因となりうる患者の共通の食事が当該施設で調理、提供された弁当に限られていたこと、感染症を疑うような先行感染や発症者間の接触等は認められなかったこと、患者を診察した医師から食中毒患者等届出票が提出されたことから、市保健所長は、本日、当該施設で調理、提供された弁当を原因とする食中毒と断定しました。
2.発生年月日
令和7年6月21日(土曜日)6時00分頃
3.喫食者数
88人
4.患者数
15人(うち入院2人) ※7月4日現在
内訳 男性12人(20~50歳代)、女性 3人(20~40歳代)
5.主な症状
下痢、吐き気、発熱等
6.原因施設
屋号:有限会社 ケーエムフーズ
所在地:千葉市若葉区高品町1592番地11
7.原因食品
令和7年6月19日(木曜日)または20日(金曜日)に当該施設で調理、提供された弁当
<喫食メニュー>
日替わり弁当、カレー
8.病因物質
サポウイルス
9.措置
飲食店営業の停止(令和7年7月4日(金曜日)から令和7年7月6日(日曜日)まで3日間)
10.食中毒発生状況
本年度(7月4日現在) 昨年度同時期
件数 1件 1件
患者数 15人 33人
死者数 0人 0人
11.サポウイルス食中毒について
・サポウイルスとは?
ノロウイルスによく似た特徴をもつ、ヒトの小腸粘膜で増殖するウイルスで、感染力が強く、大規模な食中毒など集団発生を起こしやすいため、注意が必要です。
・サポウイルス食中毒の症状は?
主な症状は、下痢、吐き気、おう吐、腹痛、発熱で、潜伏期間は、12時間から48時間です。通常は、発症後3日以内に軽快しますが、ウイルスの排泄は軽快後も1週間から1ヶ月程度続きます。
・サポウイルスの感染経路は?
汚染された二枚貝の加熱不十分な喫食のほか、感染した調理者の手指等を介した食品汚染等があります。
・サポウイルス食中毒の予防方法は?
1 トイレの後、調理や食事の前によく手を洗う。
2 消化器系症状がある場合には、調理を行わない。
3 調理器具類は使用後によく洗い、薄めた塩素系漂白剤で消毒する。(アルコールはあまり効果がありません。)
4 食品の中心温度が85から90℃に達した後、90秒以上加熱する。
● マラリア ミャンマー (KAREN)
Summary
ミャンマー南東部の the Karen National Union (KNU) が支配する地域において、雨期と蚊族の増加に一致してマラリア・アウトブレイクが急拡大している。市民や抵抗勢力の兵士らに感染が拡がっている。治療薬は提供されているが、薬剤や診断キットは不足している。
● 日本脳炎 台湾 (YUNLIN)
Summary
雲林県で今年初の日本脳炎が報告された。蚊族対策と特に幼児へのワクチン接種を、現地保険当局が呼びかけている。特に日の出と日没時刻には蚊の刺咬を避け、症状があればすぐに医療機関を受診するようアドバイスされている。
● 下痢原性大腸菌 EIEC
Summary
赤痢の原因菌である、乳糖発酵・下痢原性大腸菌 lactose-fermenting Escherichia coli (LF-EIEC) に関し、より知られている非発酵菌との比較について検討した。両タイプの臨床分離株について、毒性因子と病原性を解析したところ、発酵菌では病毒性がより強く、腸管に侵入しやすく、病毒性遺伝子の発現が多かった。以上より、乳酸発酵下痢原性大腸菌について、より詳しい研究とその影響の理解を進める必要があることが示された。
● 蚊族媒介性疾患 米国 (FLORIDA)
Summary
フロリダ州保健当局は、マイアミ the Miami-Dade area 地域における、チクングニア熱、デング熱、マラリアの蚊族媒介性疾患の、新たな感染例について発表した。同疾患についての注意報が出されている。同地域へ渡航する場合、旅行ワクチンについて医師と相談することが望ましい。
● ボツリヌス症 中国 (HONG KONG)
Summary
ボツリヌストキシン注射を受けた女性の、ボツリヌス症が疑われる症例について、保健当局が調査を行っている。深センのクリニックで接種されたあと発症した。
● オーストラリアリッサウイルス オーストラリア (NEW SOUTH WALES)
Summary
男性1名が、コウモリ咬傷により伝播される、まれな狂犬病類似ウイルスの感染により死亡した。効果的な治療法がないこのウイルスは、コウモリに咬まれたり引っ掻かれたりすることにより、コウモリの唾液が人体内に浸入することで伝播される。ある程度の期間後に発症し、インフルエンザのような症状から急速に悪化する。
● コレラ ウガンダ (AMURU)
Summary
ウガンダと南スーダンの間の国境にある Elegu Town Council において、コレラが疑われるアウトブレイクが発生した。症状のある患者が確認され、迅速検査が行われ、アウトブレイクの確定診断のために検体が送付された。接触者の追跡やコミュニティへの周知などの緊急対応が行われている。人口が過密で、国境越えの移動があることなどから、ハイリスク地域と考えられている。
● ニパウイルス インド (KERALA)
Summary
ケララ州で女性1名のニパウイルス感染陽性が確認された。ゾーニングと接触者の追跡などが行われている。
● インフルエンザ ガーナ (EASTERN) H1N1
Summary
H1N1 インフルエンザ・アウトブレイクにより、Ghana's Eastern Region の学校では疑いのある症例が隔離されている。
● 日本脳炎 インド (ASSAM)
Summary
日本脳炎が新たな地域に拡がっている。これまで一部地域ではアウトブレイクが起きていたが、新たな地域でも発生が確認されている。雨期に発生することが多く、高熱があった場合は医療機関を受診することが勧められ、公立病院では無料で検査と治療を行っているとアドバイスされている。
● 狂犬病 マレーシア (SARAWAK)
Summary
動物の狂犬病感染例が新たに確認され、サラワク州獣医学当局はペットのワクチン接種を求めている。無料のワクチン接種と、(接種済みの)マイクロチップとライセンス発行が行われる場所と日時などが周知されている。
● ハンタウイルス インドネシア (WEST JAVA)
Summary
the Bandung area において最近、げっ歯類が伝播する人獣感染症のハンタウイルス感染症が報告された。げっ歯類との接触により伝播され、発熱、筋肉痛、呼吸困難などの症状があれば医療機関を受診するようアドバイスされている。げっ歯類の駆除と、その排泄物の曝露回避が予防策の中心となる。
● ベクター媒介性疾患 インド (ASSAM)
Summary
アッサム州 Dhubri district in Assam で、マラリア、デング熱、日本脳炎などのベクター媒介性疾患の増加が確認されている。マラリア患者の多くは他の地域からの輸入感染例と考えられる。
● ランピースキン病 フランス (AUVERGNE-RHONE-ALPES)
Summary
フランスのランピースキン病感染拡大に関する、2件の記事がある。複数のアウトブレイク multiple outbreaks in the Savoie department が発生している。