2025年7月7日

マラリア エチオピア 胎内感染、新生児感染
ツツガムシ病 英国、タイから

● マラリア エチオピア (TIGRAY) 
Summary
今回の症例により、the Tigray region of Ethiopia におけるマラリアの胎内感染例と新生児感染例を把握することの重要性が認識された。本研究は、医師らのスクリーニング、治療、感染予防の知識を高めることを目的としている。

 情報源 Malaria Journal 2025年7月1日
原著タイトル Neonatal and congenital malaria (NCM): a case series in the Tigray region, northern Ethiopia. Malar J. 2025;24:210. 
Abstract
Background
Congenital malaria (CM、先天性マラリア) は、出産前または分娩中に直接母親からマラリア原虫に感染した新生児の感染症である。
Neonatal malaria (NM、新生児マラリア) は、出生後の新生児期に受けた蚊族の刺咬によるマラリア感染例である。
いずれの感染 Both congenital and neonatal malaria (NCM) も生命に危険が及ぶおそれがある potentially life-threatening conditions が、エチオピアの the Tigray region of Ethiopia においては、NCM についての認識及び経験が限られている。
here is limited recognition and experience with NCM in. This case series aims to raise clinicians' awareness of NCM screening, treatment, and prevention, particularly in endemic areas.
Methods
from January to May 2024 の期間に、エチオピア北部の総合病院新生児集中治療ユニット the neonatal intensive care unit of Miani General Hospital, Tigray region, northern Ethiopia についての症例報告を行う。持続性 persistent and/or 高熱 high-grade fever の発熱があり、第1選択の抗微生物薬への反応が乏しい新生児を選んで、薄層・厚層血液塗抹標本によるマラリアスクリーニングを行った。マラリア属陽性の新生児以外は除外した。
Case presentations
6例: 4 congenital(先天性)and 2 neonatal(新生児)malaria cases について報告する。新生児の入院時の日齢は1日から16日で、いずれも発熱が主訴だった。血液塗抹標本で、4例が熱帯熱マラリアの輪状体 ring stages of Plasmodium falciparum が、1例が4日熱マラリア Plasmodium vivax が、1例が混合感染 a mixed infection of P. falciparum and P. vivax と確認され、6例すべてが抗マラリア薬と抗生物質の治療を受けた。
5例は回復したが、1例は死亡した。
Conclusion
Neonatal and congenital malaria should be considered in any newborn presenting with clinical features of neonatal sepsis from a malaria-endemic area. Therefore, routine malaria prevention strategies and screening tests should be implemented for neonates in malaria-endemic areas.

● ツツガムシ病 英国 (ENGLAND)、タイから
Summary
英国で、タイ旅行後にツツガムシ病を発症した娘の母親が、旅行者らに注意を呼びかけている。ただちに治療を受けなければ生命に危険がある感染症で、タイの特定地域に感染のリスクがあることを知っておくべきと述べている。

 情報源 The Thaiger 2025年7月3日
British mother warns of deadly scrub typhus after Thailand trip
イングランド North Yorkshire, England のある母親が、ティーンエイジの娘がタイ旅行後に発症した細菌感染症のリスクと危険性に関する注意喚起を発出した。
ツツガムシ病 scrub typhus と呼ばれるこの病気に、旅行者らは注意を向けないことが多いが、適切なときに治療を受けなければ命に関わることがある。2025年にこの家族は、何年も前から訪れているタイへの4度目の旅行を行っていた。今回はいつもより冒険的で、全国を回ったと述べている。
帰国からまもなく、17歳の娘が体調を崩し、顎や頸の痛みを訴えたため、当初は智歯が生えてきたためだと考えていた。しかし4日間に状態は悪化し、歯科を受診した。その後救急室を受診し、伝染性単核球症が疑われた suspected glandular fever が、肝機能検査は肝障害が疑われるレベルとなった。発症の2週間前にタイ旅行から帰国したことを申告したため、熱帯病検査が行われた。その後数日間、医師は原因を突き止められぬ中、回診、鎮痛薬、抗生物質が投与され、4日目、悪化した場合は受診する an "open pass" 付きの退院となった。
2週間後、ツツガムシ病の診断報告を受けた。
"チェンマイ周辺 somewhere around Chiang Mai で感染したことがわかった。その時まで知らなかったが、比較的多い apparently common ことだった"
Orientia tsutsugamushi を原因とするツツガムシ病 Scrub typhus では、ドキシサイクリン doxycycline など適切な抗生物質による治療が行われない場合、臓器不全を含む重篤な合併症を発症する可能性がある、と the National Library of Medicine にある。
"タイ北部への旅行者は誰も、注意しなければならないのはデング熱だけではないことを知ってほしい。ツツガムシ病のリスクもある" と母親は her Facebook post to the group Thailand Travel Advice で訴えている。
このティーンエージャーの症状は、頸部リンパ節の極度の腫大 extremely swollen lymph nodes in the neck、発熱、持続性の痛み、倦怠感、嘔気、嘔吐であった。
ツツガムシ病には治療法がある一方で、未治療の場合の致死率は最大20%に達するため、回復には早期診断が不可欠である。
今回の症例は、タイの特にチェンマイなどの地域への旅行者にとって重要なリスクが示され、この地域では軍関係者らの間でくり返しツツガムシ病アウトブレイクが報告されている。治療薬はあるがワクチンはない。

● 狂犬病 ベトナム (LAO CAI) 
Alert ID: 8725532
Summary
11歳男児が狂犬病で死亡したが、感染源がわかっていない。狂犬病の症状が認められたが、何から感染したか特定できていない。家庭内でペットを飼育していたが、咬傷やひっかき傷を負ったか確認できていない。患児はワクチンを接種していなかった。

● デング熱 ネパール
Summary
保健当局者がデング熱感染増加のおそれがあるとして懸念している。ウイルスを伝播する蚊族の繁殖に好適な環境となり、感染の増加が予想されている。

● ニパウイルス インド (KERALA) 
Summary
ケララ州で最近、ニパウイルス感染による死亡例が確認された。これ以外のウイルス検査陽性例があり、当局が注意喚起と同時にサーベイランスを強化した。感染源を調査し、周知を徹底した。感染例の間の関連性についても調査されている。

● テトロドトキシン、フグ フィリピン (ZAMBOANGA)
Summary
フグを食べた2人が死亡し、ほか4人が入院となった。危険な神経毒を含むこの魚を食べた後に体調を崩した。患者の中の1人が調理を行っていた。

● 狂犬病 東ティモール、インド、マレーシア(3件)
東ティモール
Summary
狂犬病アウトブレイクにより死者が発生している。2023年に初めて国内で確認されたこの疾患について、政府当局が感染拡大防止に努めている。ペットの移動の制限、動物へのワクチン接種、野良の動物の捕獲などを行っている。

インド (UTTAR PRADESH) 
Summary
子犬に襲われた後に予防治療を受けていなかった若いカバディ選手が死亡した。この男性患者は当初咬傷を無視していたが、体調が悪化し狂犬病と診断された。居住地の人々にワクチン接種が行われている。

マレーシア(SARAWAK、イヌ)
Summary
Tubau, Bintulu において1頭の野犬がヒトを襲い、狂犬病検査で陽性となった。首長は、野犬のいる地域では特に注意するよう呼びかけている。

● カンピロバクター症、サルモネラ感染症 英国 (ENGLAND) 2024
Summary
England ではカンピロバクター症とサルモネラ感染症の著しい増加がある。食品の汚染が関係することが多いが、患者との濃厚接触や調理時の食品間の汚染による可能性もある。当局は感染増加の要因として、診断検査の向上、食品取り扱いの変化、食品サプライチェーンの変化などをあげている。

● ネズミチフス 米国 (CALIFORNIA)
Summary
限定された地区内 within a local district で、2例のノミ媒介性チフスの感染例が確認された。ノミの糞からヒトは感染し、頭痛、発熱、発疹などの症状がみられる。公共施設周辺には去勢したネコを放さないなど、のらネコをきちんと管理することで公衆衛生上のリスクは最小限となる。

● ランピースキン病 韓国 (GYEONGNAM) 
Summary
慶南道では、政府農業当局の監視により今夏のベクター増加が確認され、ランピースキン病リスクの注意喚起が行われている。

● アフリカ豚熱 ベトナム (GIA LAI) 
Summary
Gia Lai province において、アフリカ豚熱検査が陽性となった家畜のブタが処分された。

● 小反芻獣疫 コソボ、コートジボワール(2件)
Summary
ヒツジ・ヤギのペストととも呼ばれる、小反芻獣疫アウトブレイクが発生したため、コソボではヒツジとヤギの移動と取引が制限されている。1か所の村とその周辺地域に検疫体制が布かれたが、他の農場は検査後にライセンスのある精肉店に家畜を販売することが可能である。

COTE D'IVOIRE: (TONKPI) 
Summary
1か所の村で小反芻獣疫アウトブレイクが発生し、農業当局が対応している。

● ヘンドラウイルス オーストラリア (QUEENSLAND) 、ウマ
Summary
クイーンズランド州南東部でウマ1頭のヘンドラウイルス感染例が確認された。ウマの飼い主らに、家畜のワクチン接種とバイオセキュリティ対策が呼びかけられている。曝露した疑いがある人々との連絡をとっている。ヒトのワクチンはない。