2025年8月16日

オロプーシェウイルス PAHO
腸管出血性大腸菌 EHEC イタリア, 2024-2025
チクングニア 英国

● オロプーシェウイルス 南北アメリカ
Summary
PAHO から、南北アメリカにおけるオロプーシェ熱感染拡大に関する最新情報が発表され、2023年後半からの再興が明らかにされている。主にユスリカ midge により感染が拡大するこのウイルスにより、複数の国でアウトブレイクが発生しており、ブラジルが最も深刻な影響を受けている。インフルエンザ様症状の原因となり、多くは回復するが、合併症のおそれもある。気候変動と森林伐採などが要因と考えられている。

 情報源 PAHO/WHO News 2025年8月14日
汎米保健機関 The Pan American Health Organization (PAHO) から、最新のオロプーシェ熱疫学情報 a new epidemiological update on Oropouche fever が発出された。2023年後半以降、南北アメリカ全域で再興したウイルス疾患である。
2025年のこれまでに、1万2786例 confirmed cases across 11 countries -- 7 with local transmission and 4 with imported cases -- が報告されており、主として the Culicoides paraensis midgeref により感染伝播されるこのウイルスの継続的な拡大を反映している。
From 1 Jan to 27 Jul 2025 の期間に感染が確認されたのは: ブラジル Brazil (11 888 cases), パナマ Panama (501), ペルー Peru (330), キューバ Cuba (28), コロンビア Colombia (26), ベネズエラ Venezuela (5), and ガイアナ Guyana (1). 
輸入例が報告されているのは、ウルグアイ Uruguay (3), チリ Chile (2), カナダ Canada (1), and 米国 the United States であった。
2024年に地域内で1万6239 cases across 11 countries and one territory, including 4 deaths が報告されている。
2025年、ブラジルにもっとも大きな負荷がかかっており、20 states -- primarily Espírito Santo (6322) and Rio de Janeiro (2497) から感染が報告されている。5例の死亡例のほか、複数の神経学的合併症例も報告されており、胎児死亡について現在調査が行われている。パナマとペルーでもアウトブレイク significant outbreaks が発生しているが、キューバとコロンビアの報告数は減少した。
典型的なオロプーシェ熱 Oropouche fever では、高熱、激しい頭痛、筋肉・関節痛がみられ、多くの患者は2-3週間以内に回復する。まれな例として、髄膜炎または脳炎を発症する場合があり、妊娠女性では胎児リスクの可能性が懸念されている。
非常在地域、たとえばキューバの都市部へのウイルス感染の拡大は、気候変動、森林伐採、森林地帯の都市化などによって the midge population が増加したことによる。
PAHO emphasizes the need for stronger epidemiological surveillance and vector control to curb the disease, which currently has no vaccine or specific antiviral treatment.
Key PAHO recommendations to countries in the Region include:
Surveillance: 
Clinical management:

● 腸管出血性大腸菌 EHEC イタリア
Summary
1年以上にわたってイタリア国内で特定の大腸菌感染症 a specific type of E. coli infection によるとみられる重症例が報告されている。重症の合併症を伴う可能性があり、主に若年者が罹患する。一部の患者は海外渡航に関係し、多くが複数の特定国への渡航に関係していた。

 情報源 Food Safety News 2025年8月15日
Italy reports 61 HUS cases in 12 months
イタリア国内で12か月以上にわたって大腸菌感染症が報告されており、60例以上が深刻な合併症を発症した。溶血性尿毒症症候群 Hemolytic uremic syndrome (HUS) は特定の型の大腸菌の感染症 specific kinds of E. coli infections による重症合併症で、腎不全、脳障害、死亡につながることがある。
Between April 2024 and March 2025 の期間に、61例 cases of HUS が確認されており、このうち59例が15歳未満で、17地域から報告された。発症時の年齢の中央値は40.7か月(3歳)である。2024年のイタリアのデータでは 57 HUS cases が報告されている。
The Italian Hemolytic Uremic Syndrome Registry を行っているのは the Italian Society of Pediatric Nephrology and the National Institute of Health (ISS) である。
2025年はじめからの3ヶ月間に、予想された範囲内である7例の the HUS cases が確認されている。the spring (April to June) and autumn (October to December) quarters of 2024 についても同じ状況であった。In the summer of 2024 from July to September に記録された 25 cases は季節性の予測より少なかった。海外在住の患者の4例の HUS が報告されている。6例が海外から帰国後に発症し、3例がエジプト、ほかはフランス、ルーマニア、タンザニアへの旅行者とされている。12ヶ月間に、61例の HUS のうち56例の検査が行われた。
志賀毒素産生性大腸菌 Shiga toxin-producing E. coli (also called enterohemorrhagic E coli, EHEC、腸管出血性大腸菌) infection が 48 cases で確認された。43 HUS cases について serogroup が確認されている: the so-called top serogroups O26, O157, O111, O145, and O103 were the majority, representing 41 infections。2例が異なる different serogroups (O111 and O103 as well as O111 and O145) の重複感染例と確認された。
The most frequently detected serogroup among HUS cases was EHEC O26. It was identified in 18 patients.

● チクングニア 英国
Summary
2025年上半期の、イングランド、ウェールズ、北アイルランドにおける、渡航関連の感染に関する報告。チクングニアの感染例については、前年同期比で増加がみられることが示されている。報告内で英国内の感染例の地理的分布と、感染例の渡航歴についての情報が提供されている。

 情報源 UK Health Security Agency (UKHSA) 2025年8月14日
Executive summary
between 1 Jan and 30 Jun 2025 の期間のチクングニア感染例 chikungunya cases は、2024年同期の27例から、73例に増加した。感染例の多くがスリランカ、インド、モーリシャス Mauritius への渡航を報告しており、インド洋地域各国で発生中の地域内アウトブレイクを反映している。
Background
the Travel Health and International Health Regulations (IHR) team in the Epidemic and Emerging Infections Directorate, UK Health Security Agency (UKHSA) による今回の報告において、渡航関連の感染症 case numbers of selected travel-associated infections reported in England, Wales, and Northern Ireland (EWNI) from 1 Jan to 30 Jun 2025 が報告されている。
詳細情報として、2025年上半期のチクングニア、コレラ、デング熱、リケッチア感染症、ジカウイルス病の発生動向も報告されている。日本の運得、オロプーシェウイルス病、黄熱については、An infection summary and key findings が示されている。ほか、英国内の輸入マラリア感染例と travel-associated enteric fever cases in EWNI の Detailed reports and data も提供されている。
Data sources
Chikungunya
EWNI において73例のチクングニア chikungunya cases between January and June 2025 が確認された: 73 cases reported in England, The largest proportion of cases in England were reported in London (58%) 。
41 (56%) が確定診断され 32 (44%) が probable cases である。27 cases (11 confirmed and 16 probable) であった2024年同期との比較で170%の増加となる。
2025年上半期の73例のうち、70例の渡航歴が判明しており、スリランカ Sri Lanka (45, 64%), followed by インド India (9, 13%) and モーリシャス Mauritius (5, 7%) である。
Country of travel / Number of cases
Sri Lanka / 45
India / 9
Mauritius / 5
Kenya / Thailand / 3
Indonesia / Philippines / Somalia / 2
Bangladesh / Botswana / Brazil / Ethiopia / Maldives / Réunion / South Africa / Viet Nam / 1
Not stated / 3
Total [note 1] / 82
スリランカでは2024年後半以降、16年ぶりとなる大規模なチクングニア・アウトブレイクが続いている。By March 2025 173例のチクングニア chikungunya cases from sentinel sites in Sri Lanka が報告されているが、非公式の報告ではさらに多くの感染が示唆される。2025年6月上旬までにスリランカ、インド、パキスタンを中心にアジア地域で3万3千例以上が報告されており、モーリシャスの地域内感染を含むインド洋地域全体のより広い地域での感染伝播を反映している。フランスでも感染が発生し、25 locally acquired cases in 2025 and major outbreaks in its overseas territories (54 233 in Reunion and 1098 in Mayotte) by 29 June 2025 が報告されている。2025年のこれまで、欧州地域内の他の地域 No other EU/EEA country において、地域内感染は報告されていない。
References
UKHSA. 'Rare and Imported Pathogens Laboratory (RIPL): user manual'
UKHSA. 'Bacteriology reference department user manual'
UNSD. 'Methodology'
WHO (2025). 'Chikungunya'
The re-emergence of chikungunya in Sri Lanka: A genomic investigation. medRxiv. 2025.
WHO (2025). '10th edition, Epidemiological Bulletin WHO Health Emergencies Programme WHO Regional Office for South-East Asia‎, 21 May 2025 Reporting period: 5-18 May 2025'
ECDC (2025). 'Chikungunya virus disease worldwide overview'
WHO (2025). 'WHO EPI-WIN Webinar: update on Chikungunya virus disease outbreak: focus on the Indian Ocean'
ECDC (2025). 'Communicable disease threats report, 5-11 July 2025, week 28'

● レプトスピラ症 フィリピン (PAMPANGA) 
Summary
レプトスピラ症の増加を受け、Pampanga 保健当局が市民に対して、水田のラットを食べるのをやめるよう呼びかけている。人々は食べても安全であると信じられているが、ラットは the leptospirosis virus を保有する可能性がある。

● ツツガムシ病 ネパール (SANKHUWASABHA)
Summary
Sankhuwasabha のある病院で、ツツガムシ病とデング熱の患者の増加がみられている。

● 胃腸炎 メキシコ (VERACRUZ) 
Summary
Tatahuicapan, Veracruz において、多数の人々が嘔吐と下痢の症状を発症し、アウトブレイクの可能性について保健当局が調査を行っている。現時点で原因は不明である。

● レジオネラ症 米国 (NEW YORK CITY) 
Summary
Central Harlem のレジオネラ肺炎アウトブレイクには、Harlem Hospital を含む複数か所が関係している。確認されたアウトブレイクの感染源ポイントを保健当局が発表した。

● A型肝炎 カナダ (ONTARIO)
Summary
レストラン a Tecumseh restaurant において A型肝炎暴露のおそれがあるとして、The Windsor-Essex County Health Unit (WECHU) 保健当局が注意を呼びかけている。7月と8月の特定日にこのレストランで食事を摂った人々に暴露の可能性がある。

● 野兎病 スペイン (NAVARRE)
Summary
地域内の "rabbit fever" とも呼ばれる野兎病の著しい増加が、The Navarre Institute of Public Health 保健当局から報告されている。げっ歯類とダニなどの動物との接触により感染するが、吸入や汚染されたものの取り扱いでも感染する可能性がある。発熱と皮膚の症状があり、抗生物質による治療が可能である。

● コレラ ナイジェリア (ZAMFARA)
Summary
Zamfara State におけるコレラ感染例の増加について、国境なき医師団が警鐘を鳴らしている。

● 薬品の汚染 アルゼンチン
Summary
アルゼンチン国内で、汚染のある医療用フェンタニルによる多数の死亡が発生している。鎮痛と麻酔に使用されたこのフェンタニルは、細菌に汚染されていた疑いがある。製造した製薬会社を対象に調査が続いている。社長は汚染は故意によるものではないと述べている。問題のバッチは回収されたが、死者は増え続けている。

● 狂犬病 フィリピン
Summary
狂犬病の感染例について保健当局から報告され、市民への周知と責任あるペット飼育の重要性が示されている。ペットのワクチン接種が求められている。

● BLUE DRAGON VENOM タイ (PHUKET) 
Summary
最近 the blue sea slug, also known as the "blue dragon" が確認されていることを受け、プーケット島のビーチ滞在客らに対し疾病管理当局が注意を呼びかけている。痛みがあり危険なトゲがあることから、特にクラゲ毒アレルギーの人々は注意が必要である。
 情報源 The Nation 2025年8月14日