2025年9月1日

百日咳 英国、オーストラリア
狂犬病 メキシコ、ウシ咬傷

● 百日咳 英国、オーストラリア

英国
Summary
英国内で乳児が百日咳により死亡し、ワクチン接種率が低下していることへの懸念が高まっている。英国保健当局は、特に乳児にとって同疾患が重症となることを市民に周知している。小児と妊娠女性に対するワクチン接種率は推奨レベル以下で、英国は the World Health Organization's herd immunity threshold を下回っている。

オーストラリア
Summary
30年近くの間で最悪の百日咳アウトブレイクが発生しており、ワクチンを接種するよう呼びかけられている。オーストラリア医学会はきわめて懸念すべき状況ととらえ、ワクチンはこの病原体に対するもっとも有効な武器であると強調している。特に乳幼児は(感染すると)生命に関わるおそれがあり、妊娠女性、保護者、養育者らにも接種するよう呼びかけている。

○ 狂犬病 メキシコ

Summary
メキシコ国内で発生した1例のヒトの狂犬病は、ウシによる咬傷に関連しており、野生動物から家畜への感染溢出があり、次いでヒトに伝播したとみられている。曝露後予防により避けられた事例であり、One Health surveillance の強化、家畜へのワクチン接種、速やかな抗狂犬病製剤 rabies biologics へのアクセスの必要性が示された。
Key Findings
Tonila, Jalisco の68歳男性1名が、2025年5月にウシの咬傷を受けた後、狂犬病を発症した。8月7日に神経学的症状のため Colima の私立病院を受診し狂犬病感染が疑われ、危険な状態となって the General Hospital of the Mexican Social Security Institute (IMSS) in Colima に搬送されたが、同27日に死亡した。同28日に the Institute of Epidemiological Diagnosis and Reference (InDRE) において確定診断された。曝露した場所は Jalisco とみられており Colima では1987年以降ヒトの狂犬病は報告されていない。

● コクシジオイデス症 台湾
Summary
コクシジオイデス症の輸入感染例の増加に The Taiwan CDC が対応している。検査用資材を確保し、検査体制を確立した。常在地域への旅行者に対する保健教育も強化している。台湾は非常在地域であり、特にハイリスクの人々は感染リスクを知っておくべき述べている。常在地域では土埃の環境を避け、渡航後に症状がある場合は医療機関の受診を勧めている。医療関係者への周知も図っている。

● COVID-19 米国 (KANSAS) 
Summary
米国内の COVID-19 感染例と入院が増加しており、新学年の開始と涼しい季節の到来に一致している。カンザス州の1か所の学校が、COVID-19 アウトブレイクにより学校閉鎖となっている。数値は上昇しているが、過去数年間に比べると低いままである。最新のワクチンがあるので接種するよう呼びかけられている。

○ 原因不明のイベント ベトナム
Summary
Gia Lai Province, Vietnam における、ホームパーティー a housewarming party 後の大規模食中毒アウトブレイクにより、小児から老人まで150人以上が体調を崩し、家庭内での二次曝露も発生した。短時間で消化器症状を発症し、罹患率が高く、ケータリング業者が営業を停止している。
・8月28日、Ia Hiao Commune, Gia Lai Province, Vietnam において220人が参加したパーティー a housewarming event 後に大規模食中毒アウトブレイクが発生し、自宅への持ち帰りによる二次感染例が発生した。
・合計151人が病院 Ayun Pa and Phu Thien Medical Centers (initial estimates cited 131) に入院となり、うち14人が小児、6人が60歳以上の高齢者である。
・腹痛、嘔吐、下痢、発熱、嘔気などの急性胃腸炎症状で、潜伏期間は6-7時間と推定されている。はじめての入院患者が発生したのは8月29日の16時半頃で、夕方にかけて患者が相次いだ。
・報告時点で軽症から中等症の患者であり、状態は安定している。死亡例、重症例は報告されていない。

○ チクングニア バングラデシュ
Summary
both Dhaka and Chittagong のいずれにおいてもチクングニア・アウトブレイクが報告されており、ダッカでは1月から5月までの間に153例が PCR 検査で確定診断され、Chittagong では8月末までに約2700例が報告されている。蚊族の高密度発生、診断の不足、検査費用の経済的理由などにより事態は悪化しており、モンスーンが近づき、定期サーベイランスがない中、さらに感染が拡がるリスクが高まっている。
Key Findings
・市医療当局者 Chittagong Civil Surgeon によると、Chattogram district においてこの24時間に56人のチクングニア感染が確認された。
・2744 people in Chattogram district が2025年のこれまでに感染している。

○ ポリオ パキスタン
Summary
2025年9月1日、パキスタンで新たなポリオウイルス感染例 case of wild poliovirus type 1 (WPV1) が報告され、2025年の合計症例数が24例となった。
On 01 Sep 2025, one new case of wild poliovirus type 1 (WPV1) was reported in Pakistan, bringing the total for 2025 to 24 cases.
Key findings
・the Tank district of Khyber Pakhtunkhwa において新たな野生株ポリオウイルス感染例 wild poliovirus type 1 (WPV1) case が確認され、2025年の国内の患者が合計24例となった。 ・生後20か月の乳幼児で、治安上の問題でワクチン接種が十分に行われていない地域であった。
・A comprehensive immunization campaign has been launched, aiming to vaccinate over 28 million children under the age of five across 99 districts.