チクングニア、オロプーシェウイルス PAHO/WHO
狂犬病 メキシコ
● チクングニア、オロプーシェウイルス
Summary
2025年、各地でチクングニアおよびオロプーシェウイルスによるアウトブレイクが発生しており、汎米保健機関は加盟国に対応を強化するよう呼びかけている。チクングニアは、異なる遺伝型のウイルスが世界中に拡大し、さらなる感染拡大のおそれがある。南北アメリカにチクングニアとオロプーシェが共存しており、後者は新たな地域に感染が拡大している。
情報源 PAHO/WHO 2025年8月28日
2025年、アジアと欧州を含む世界中の複数の地域でチクングニア・アウトブレイク outbreaks of chikungunya が発生しており、一部は大規模となっている。南北アメリカ地域 the Americas Region においても、複数国で感染例が増加している。
加えて、オロプーシェウイルスの地域内感染例 autochthonous cases of Oropouche を報告した国が6か国となり、従来の感染伝播地域外にも及んでいる。
Summary of the global situation of chikungunya
全世界で、はじめて確認されてから2024年12月までに、the 6 regions of the World Health Organization (WHO) の119の国と地域からチクングニア国内感染伝播 autochthonous transmission of chikungunya virus (CHIKV) が報告されており、このほか27か国では未だ国内感染は報告されていない no autochthonous cases of CHIKV ものの、ベクターとなり得るネッタイシマカ competent populations of the Aedes aegypti vector が確認されている。
さらにヒトスジシマカ Aedes albopictus が定着した地域においては強力なベクターとなり得 greater competition for transmission、特にインド洋系統の特徴である変異がみられるウイルス virus genotypes containing the E1-A226V mutation, characteristic of the Indian Ocean lineage (IOL) では、感染伝播効率が著しく高まっている。これらのベクターの存在は、これまで感染がみられなかった地域へのチクングニアウイルス導入と感染拡大のリスクが持続することにつながる。
遺伝学的解析により、世界全体では主に 3種類の遺伝型 main CHIKV genotypes circulating globally の感染循環がある。: the West African genotype, the East, Central, and South African (ECSA) genotype, and the Asian genotype
現在、the ECSA and Asian genotypes がもっとも蔓延する the most prevalent worldwide。
これらの系統間の、疫学及び病原性の相違や、交叉免疫の可能性については研究が続けられている。
2025年、8月中旬までに世界全体で約27万例のチクングニアが、アフリカ、南北アメリカ、欧州、西太平洋および東南アジア地域から報告されている。
チクングニア Chikungunya situation in the Americas
2013年に the Americas Region に導入されて以降、ベクター competent vectors の存在する地域に感染が拡がった。遺伝学的解析 genomic analysis では、the Asian genotype が優位型 predominant in outbreaks reported in 2014 to 2020 in the Americas Region となっていた。
しかし最近のブラジル Brazil (Sao Paulo, 2020), パラグアイ Paraguay (Asunción and Central, 2022), ボリビア Bolivia (Santa Cruz, 2025) やカリブ海地域 parts of the Caribbean でのアウトブレイクでは、the circulation of the ECSA genotype が確認されている。低レベルでの the Asian genotype の感染循環は継続しているが、ECSA in the Region が共循環しウイルスの馴化が進み、将来の組替えや系統交代などの可能性が危惧されている。
Between epidemiological week (EW) 1 and EW 33(8月中旬)of 2025 の期間に14か国 countries in the Americas Region において、21万2029例 suspected cases of chikungunya (2) と 12万4942例 (probable and confirmed) が報告され、110例が死亡した。
2024年は 43万1417 suspected cases, including 245 deaths from chikungunya の報告があり、うち98% of cases がブラジル Brazil (n = 425,773 cases) からの報告だった。
The epidemiological situation of chikungunya in countries in the Americas Region is described below, organized in alphabetical order:
アルゼンチン、バルバドス、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、キューバ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、パラグアイ、ペルー、米国
オロプーシェ Situation of Oropouche in the Americas Region
2025年、between EW 1 and EW 30 の期間に1万2786例のオロプーシェウイルス感染例 confirmed cases of Oropouche in the Americas Region が報告され、11か国: ブラジル Brazil (n = 11 888 cases including 5 deaths), カナダ Canada (n = 1 imported case), チリ Chile (n = 2 imported cases), コロンビア Colombia (n = 26 cases), キューバ Cuba (n = 28 cases), 米国 the United States of America (n = 1 imported case), ガイアナ Guyana (n = 1 case), パナマ Panama (n = 501 cases including one death), ペルー Peru (n = 330 cases), ウルグアイ Uruguay (n = 3 imported cases), ベネズエラ Venezuela (Bolivarian Republic of) (n = 5 cases) が Confirmed cases を報告した
Guidance for national authorities
Adaptation of health care services
Integrated Surveillance
Laboratory confirmation
Chikungunya
Genomic characterization and surveillance
The A226V mutation 変異は、過去のレユニオン Réunion (2005-2006), インド India (2006-2007), およびタイ Thailand (2019) における爆発的アウトブレイクの原動力となった、インド洋型 the Indian Ocean genotype (IOL), a sublineage of the East, Central, and South African genotype (ECSA) を特徴付けている。The IOL genotype は今も南アジア、東南アジア、中東で感染循環が続いており、しばしば the A226V mutation 変異を伴い、状況により the Asian genotype に取って代わっている。
The ECSA genotype は、ancestral to both the IOL and Asian genotypes と考えられており、サブサハラアフリカ各地に常在し、南北アメリカでは2014年以降に確認されるようになった。ECSA strains はブラジル等の地域内感染 indigenous transmission in Brazil, Paraguay, Bolivia, and parts of the Caribbean の誘因となったが、この導入は the 2014-2015 outbreaks in the Americas を当初推し進めた the Asian genotype とは別個のものだった。
some ECSA strains in the region にも疫学的影響のある変異が生じているが、南北アメリカにおいて the A226V mutation が報告されたことはない(has not been documented in any strains detected in the Americas)。
Case management
Chikungunya
Oropouche
Community involvement
Entomological surveillance, prevention, and vector control
Prevention and control measures to be implemented by national authorities should include the following:
Personal protection measures
●○ 狂犬病 メキシコ
Summary
Jalisco, Mexico の男性1名がウシから狂犬病に感染し死亡した。2025年5月に感染動物に曝露していたが、医療機関の受診は8月のことだった。Jalisco and Colima および政府当局が、調査及び家畜へのワクチン接種等の対策を実施している。Jalisco 州では2022年以来、またウシからの感染例としては州内初のヒトの感染例となった。
Summary
メキシコ国内で1例のヒトの狂犬病は、ウシによる咬傷に関連しており、野生動物から家畜への感染溢出があり、次いでヒトに伝播したとみられている。曝露後予防により避けられた事例であり、One Health surveillance の強化、家畜へのワクチン接種、速やかな抗狂犬病製剤 rabies biologics へのアクセスの必要性が示された。
Key Findings
Tonila, Jalisco の68歳男性1名が、2025年5月にウシの咬傷を受けた後、狂犬病を発症した。8月7日に神経学的症状のため Colima の私立病院を受診し狂犬病感染が疑われ、危険な状態となって the General Hospital of the Mexican Social Security Institute (IMSS) in Colima に搬送されたが、同27日に死亡した。同28日に the Institute of Epidemiological Diagnosis and Reference (InDRE) において確定診断された。曝露した場所は Jalisco とみられており Colima では1987年以降ヒトの狂犬病は報告されていない。
● 百日咳 南北アメリカ
Summary
百日咳再興と薬剤耐性菌の新興を受けて、PAHO は南北アメリカの加盟国に対し、ワクチン接種活動とサーベイランスシステムの推進を求めている。ワクチン接種、責任ある抗生物質使用、早期診断の重要性が強調されている。細菌の遺伝子の変異により標準治療の有効性が低下している。
● 食中毒 米国、モロッコ
米国、インドネシア産エビ
Summary
放射性物質による汚染のおそれがあるとして、複数の会社がエビ製品の回収を行っている。インドネシアから輸入されたこのエビに、放射性物質セシウム-137 が含まれている可能性がある。
モロッコ
Summary
製品名 "Royal Jelly" の強壮剤を摂取した若い男性1名が死亡した。主にオンラインで販売されている同製品には、心臓の持病がある場合に心不全や腎不全などの重篤な合併症の原因となりうる、明示されていない薬効成分 undeclared pharmaceuticals が含まれていた可能性がある。中毒コントロールセンター The Moroccan Center for Poison Control から注意喚起が行われている。
● A型肝炎 キューバ (GUANTANAMO)
Summary
キューバの軍内部で A型肝炎アウトブレイクが発生している。この深刻な事態について軍当局は隠蔽を試みた。公衆衛生省は国内での A型肝炎の微増を関知しており、感染拡大防止を勧めていた。
● サルモネラ感染症 ウクライナ (LVIV)
Summary
the Lviv region のホテル・リゾート施設 a hotel and entertainment complex においてサルモネラ感染症アウトブレイクが発生した。サルモネラ菌 Salmonella Enteritidis が原因で、チキンフィレの加熱が不十分であったことが関係していた可能性がある。患者らには嘔気、嘔吐、腹痛、下痢などの症状がみられている。
● ベクター媒介性疾患 インド (UTTAR PRADESH)
Summary
Noida では、保健当局がデング熱とマラリア感染例の増加の対応に追われている。隣接するNeighboring Ghaziabad においても感染の増加が確認されている。
● デング熱 バングラデシュ
Summary
In a recent report, health officials announced new cases of dengue fever.
● 柑橘類の病気、CITRUS VIROID V イタリア
Summary
2025年、シチリアの柑橘類果樹園における a citrus viroid の発生が調査された結果、sweet orange trees で viroid が確認された。
● 粘液腫症 チェコ共和国 (JIHOMORAVSKY) 、野ウサギ
Summary
チェコ共和国内で、ウサギの感染症の粘液腫症が確認された。昆虫や直接の接触で伝播され、野ウサギやペットのウサギに深刻なリスクとなる。ヒトや他の動物には感染しないが、ウサギでは重症疾患となり得るため、獣医師らはワクチン接種を勧めている。欧州全域に急拡大しており、ヒトの活動を通じた新たな地域への導入が懸念されている。
● 狂犬病 ウクライナ (KHARKIV)
Summary
異常行動がみられたキツネが漁師を襲い、その後の検査で動物の狂犬病感染が判明した。