2025年9月3日

スコンブロイド魚食中毒 イタリア
神経囊虫症 TAENIA CRASSICEPS スロベニア EID
腸炎ビブリオ 日本、弁当

●○ スコンブロイド魚食中毒 イタリア (SARDINIA)

Summary
レストランバー a restaurant-bar in Cagliari で出された魚を食べた客らの病気についての報告を受け、当局が調査を行なったところ未認可の食品保管エリアが明らかになり、魚類が押収され営業停止が命じられた。
 情報源  L'Unione Sarda 2025年9月2日
Fish poisoning in Cagliari
The Carabinieri of Cagliari, together with colleagues from the NAS and ASL staff , carried out a raid on the restaurant-bar in the city centre where, yesterday [1 Sep 2025], cases of poisoning occurred among several customers -- 13 in total -- who had consumed fish.
According to the findings, the people showed symptoms attributable to the so-called "scombroid syndrome" immediately after the meal, resulting in hospitalization in city hospitals.

原因不明の事例 イタリア
Summary
Cagliari のレストランでマグロを食べた13人がまもなく体調を崩し、ヒスタミン魚中毒の症状が疑われている。当局により一時営業停止となっている。
Key Findings
現地報道によると、同じ職場の13人 co-workers in Cagliari, Italy が a bar/restaurant での昼食にマグロを食べてすぐに救急室を受診した。Cagliari はサルディーナ島の主要都市 the capital city of the Italian island Sardinia である。
高濃度のヒスタミンを含有する魚類の摂取による食中毒の、スコンブロイド症候群(食中毒)Scombroid syndrome が疑われている。不適切な保管状況により細菌が繁殖し、本来魚類が持っているヒスチジンが、ヒスタミンに変換されることが原因となる。

● 神経囊虫症 TAENIA CRASSICEPS スロベニア

Summary
条虫(サナダムシ)the larval stage of a tapeworm によるまれな中枢神経感染症の1例について報告する。神経症状を発症し、血清学および分子学的診断法を併せて実施し診断された。感染症治療薬と抗炎症作用薬で治療が行われた。認知機能は改善が認められたが、一部の身体症状は持続している。この感染症はそれほど多くないため、診断に困難をきたしやすい。感染源は特定されていないが、この患者の年齢は感染がおこりやすい。
 情報源 Emerging Infectious Diseases(EID)2025年8月20日
原著タイトル Subarachnoid Neurocysticercosis Caused by Larval-Stage Taenia crassiceps Tapeworm, Slovenia. Emerg Infect Dis. 2025;31(9):1865-1868.
Human neurocysticercosis is a severe infection of the central nervous system, generally caused by larvae of the tapeworm Taenia solium and, rarely, by other Taenia species, such as T. crassiceps. So far, 2 cases of T. crassiceps neurocysticercosis have been reported in humans (1,2).

●○ 腸管出血性大腸菌 EHEC ベルギー

Summary
ベルギー国内で腸管出血性大腸菌感染症アウトブレイクにより複数の死者が発生している。主にケアホームで発生しており、保健当局により感染源の調査が行われている。感染の発生が数週間前であることが、調査を難しくしている。感染源として食品の汚染の可能性のほか、ヒト-ヒト感染伝播についても調べられている。

Summary
2025年8月22日以降にベルギーで長期滞在施設内での志賀毒素産生性大腸菌 O157 クラスターが報告されており、63人 people across Flanders, Wallonia, and Brussels が感染し、8人の死亡 deaths (CFR 12.7%) が発生している。疫学調査により、8月中旬の食事が原因 a point-source foodborne exposure in mid-August と示唆され、少数の二次感染例もあり、当局 the Belgian Federal Agency for Food Safety の調査が続けられている。
Key Findings
・志賀毒素産生性大腸菌感染症クラスター A cluster of Shiga toxin–producing E. coli (STEC) infections がベルギー国内の複数の介護施設で発生し、2025年9月1日までに8人が死亡、63人が発症している。
・Flanders では8か所の施設で serotype O157 による感染症と確認され、Wallonia でも現在2か所の施設で STEC infections (serotype under analysis) が確認されたほか、もう1施設でも患者が確認され調査が行われている。
・Brussels (Jette), one resident is STEC-positive with serotype confirmation pending.
・Flanders では 17 Aug に開始し、ピーク peaking 20–22 Aug となっている。
・現時点で新たな感染伝播は報告されていない。ヒト-ヒト感染の可能性が残されている。共通の食品が疑われている。
 情報源 The Brussels Times 2025年9月2日
Eight deaths now confirmed in Belgium due to E. coli outbreak
8月以降、Flanders の7人と Wallonia の1人の合計8人が、志賀毒素産生性大腸菌 the shiga-toxin-producing Escherichia coli (STEC) bacteria 感染により死亡したと、各地域の保健当局からの共同声明で明らかになった。これまでに63人が感染症の症状を発症した。アウトブレイクの被害が eight nursing homes in Flanders で発生しすべて the O157 strain of the bacteria が原因となっている。3か所の介護施設 three nursing homes in Wallonia (located in the provinces of Namur, Luxembourg, and Walloon Brabant) および1か所の施設 one in the Brussels Region (in Jette) についても調査されている。これらが同じ株の菌  the same O157 strain によるかどうかの検討が行われている。ブラッセルBrussels の1例は "in good health"と報告されている。
公衆衛生当局 The Brussels public health agency Vivalis の広報担当者は、食品由来で the cases in Flanders の症例と同じ食品が原因とみられると述べた。首都においてさらなる感染リスクは"reduced(小さい)"と説明されている。
食品安全当局 Belgium’s Federal Agency for the Safety of the Food Chain (Afsca) が感染源の調査中であると発表している。

○ ビブリオ症 日本

Summary
旭川市保健所から、弁当を食べた144人が胃腸炎症状を発症し、原因菌は腸炎ビブリオと確認されたと報告した。60代男性1名が死亡したが、アウトブレイクとの関係は明らかになっていない。
 情報源 NHK 2025年9月2日
仕出し弁当食べた144人が食中毒 症状訴えた1人死亡 旭川
 情報源 朝日新聞 9月2日
弁当を食べた144人が食中毒、60代男性が死亡 北海道旭川市
 情報源 旭川市
食中毒の発生について

● ジカウイルス アルゼンチン
Summary
2025年、国内でジカウイルス感染症アウトブレイクが発生しているが、無症候性感染例のため診断に結びついていないkことが過少報告の原因と考えられる。米国 CDC は渡航に関する勧告を行っていないが、英国はリスクについてのアドバイスを行っている。妊娠女性は渡航前に医師に相談すべきである。2025年の間にワクチンや治療薬が開発される見込みはない。

● 麻疹 米国、メキシコ
米国 (WISCONSIN, OHIO, TEXAS)
Summary
複数の地域で麻疹アウトブレイクが確認されている。Wisconsin 州で1件が発生中で、Ohio 州ではある家族内のクラスターが確認された。Texas 州では成人1名の感染が確認された。

メキシコ (MEXICO CITY)
Summary
全国的な麻疹アウトブレイクへの対応として、Mexico City においてワクチン接種活動が強化されている。小児、青少年、成人など様々な年齢層を対象としており、ワクチン接種記録が未了またはハイリスクに重点が置かれている。特にアウトブレイクが開始した州の封じ込めに焦点が当てられている。

● レプトスピラ症 フィリピン (CENTRAL VISAYAS) 
Summary
Central Visayas のレプトスピラ症が前年に比べ増えており、死者も増加している。雨季に入り、さらなる増加が予想されている。リスクがあるのは、農業従事者、学生、洪水に曝露した人々で、イヌやネコなどの動物も感染することがある。

● デング熱 台湾 (KAOHSIUNG)
Summary
高雄市で新たなデング熱1例が報告され、以前に確認された症例と関連があり、コミュニティ内クラスターの一部である。

● チクングニア 中国 (HONG KONG) 
Summary
香港で新たに旅行者のチクングニア感染例が1例確認された。

● 結核 米国(MICHIGAN)
Summary
ある高校に所属する人物が結核と診断され、春学期中に曝露した疑いのある人々が特定・通知されている。

● ダニ媒介性脳炎 ベルギー
Summary
ベルギーの小児1名のダニ媒介性脳炎について報告する。ダニが媒介するウイルスによるこの疾患は、中枢神経系に及ぶことがある。同じ地域の成人の過去の感染例と対比されている。小児の経過は疾患に特有な2相性パターンであった。特に神経症状がある患者においてダニ媒介性脳炎の症状を見分けることの重要性が強調されている。

● 類鼻疽 世界
Summary
土壌や水の中で発見される細菌による類鼻疽は、東南アジアとオーストラリア北部にひろく蔓延しているが、世界中から報告がある。米国でも複数の特定地域で同菌が確認されており、感染例のほとんどが渡航関連であるが、一部に渡航歴のない患者も発生している。これらの症例の調査では、菌に汚染された製品などの感染源が特定されることもある。

● 黄熱 コロンビア (PUTUMAYO)
Summary
2025年の早期にコロンビア国内の非ヒト霊長類の間で黄熱による死亡例が報告されていた。発見された場所付近の野生動物が多い地域に生息していた。絶滅危惧種を含む、様々な非ヒト霊長類が黄熱に感染する可能性があり、サーベイランスと感染対策の重要性が強調されている。

● トマトの病気、TOMATO BROWN RUGOSE FRUIT VIRUS エジプト
Summary
The Tomato brown rugose fruit virus (ToBRFV) has been officially confirmed in Egypt. The virus was detected in tomato fruit samples during surveys conducted in 2025. 

●○ 高病原性鳥インフルエンザ インド、ボリビア、アルゼンチン
India  (UTTAR PRADESH)  H5N1
Summary
Following confirmed cases of avian influenza in a nearby district, local authorities have issued an alert and established rapid response teams. 

Bolivia 
Summary
Bolivia confirmed an outbreak of highly pathogenic avian influenza (HPAI) H5 in backyard poultry in Cuevo, Santa Cruz. 

Argentina
Summary
An outbreak of HPAI (H5) has been confirmed in a backyard farm in Laurence, Nogoyá, Entre Ríos province, prompting rapid culling, disposal, and disinfection measures.