2025年9月14日

サルモネラ感染症 オーストリア
呼吸器疾患 ニュージーランド、ピーク延長

○ サルモネラ感染症 オーストリア

Summary
2025年9月初旬、オーストリア国内で49例のまれなサルモネラ菌 Salmonella Kenya による感染症が報告された。うち15例が入院となったほか、欧州内の他国でも感染が報告されている。感染源は特定されていないが、広範囲の流通のある食品が疑われている。現在、食品の回収は行われていない。

まれなサルモネラ菌による49例の感染報告、複数国で調査中
Key findings
・9月11日現在、オーストリア衛生食品安全当局 the Austrian Agency for Health and Food Safety (AGES) が 49 cases of infection caused by a rare serotype, Salmonella Kenya を報告した。
・アウトブレイクの開始は2025年8月で、全国 all Austrian federal states で患者が報告されており、15例(全患者の約30%)が入院を必要としたが死亡は報告されていない。
・Salmonella Kenya は欧州内ではまれなタイプ rare throughout Europe だが、欧州内の複数の国でも同菌による患者が報告されている。
・The European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC) は発生国を公表していないが、their EpiPulse platform を介し状況把握に努めている。
・感染源と感染経路については現在調査中であるが、まだ解明されていない。
・No food recalls related to this outbreak have been issued by Austrian authorities as of September 13, 2025.
 情報源 AGES 2025年9月11日
Update: Illnesses caused by a rare strain of salmonella
August 2025 以降、49 people in all federal states of Austria が、まれな株のサルモネラ菌 a rare strain of salmonella に感染し発病した。

○ 呼吸器疾患 ニュージーランド

Summary
ニュージーランドが、季節性呼吸器疾患の時期外れのピーク a delayed peak を経験している。8月下旬になっても、インフルエンザ様疾患の活動性が高まったままで、特に南島で顕著であり、2022年のオミクロンによる感染波でみられた発生率に概ね一致している。発生レベルの上昇がみられているものの、全国の発生率 national ILI rates としては過去のピーク以下にとどまっており、現行のインフルエンザワクチンと循環するウイルス株は適合している well-matched。

呼吸器疾患のピーク延長、南島でインフルエンザ様疾患増加
Key findings
・ニュージーランドは、2025年8月時点でも活動性が高いままの、季節性呼吸器疾患の遅いピークを経験している。
・南島 The South Island (Te Waipounamu) では、2022年のオミクロン the COVID-19 Omicron wave 以上の、全国平均を超えるインフルエンザ様疾患発生率 influenza-like illness (ILI) rates が確認されている。
・今期のインフルエンザシーズンはとりわけ時期が遅かった。5月から着実に上昇し、8月下旬になっても発生率が高いままである。
・the high levels ではあるが、national ILI rates は近年のピークを下回っている below the peak levels observed between 2022 and 2024。
・特に若年者の感染が顕著である。
・The currently available seasonal influenza vaccine is a good match to the circulating strains.
 情報源 the New Zealand Institute for Public Health and Forensic Science(PHF Science)2025年9月12日
Serious respiratory viruses, including influenza and RSV, remain widespread across New Zealand as spring begins
インフルエンザ、RS ウイルスなどの重症季節性呼吸器疾患の、春以降の国内各地での高レベルでの感染循環が続いている。
“Our surveillance systems によると、8月末の時点においても a late peak in seasonal respiratory illness in the community が続いており、特に the South Island において顕著である” と PHF Science Public Health Physician が述べた。
例年、インフルエンザシーズンは from May to October の間続くが、the COVID-19 pandemic 以後の近年、呼吸器疾患のピークは早まっていた。
“しかしながら今年は、5月から着実に増加したまま8月後半に突入した”  
“近年に比べて遅いが、週あたりの発生率は below the national peaks recorded between 2022 and 2024 である”  
データによると、Te Waipounamu (South Island) の発生率 influenza-like illness rates が全国平均を超え the COVID-19 Omicron community wave in 2022 以来の数値となっている。Laboratory surveillance により influenza and RSV がこの状況の主な要因である。
“今シーズンの負荷は複数のウイルス、特に two strains – influenza A (H1N1) and B viruses – と、同時に a prolonged RSV season and ongoing COVID-19 spread によるもので、これらのインフルエンザウイルスは若年者により重い症状が現れるが、健康成人も重症化する可能性がある。
良いニュースとしては、今シーズンのインフルエンザワクチン this year’s seasonal influenza vaccine は循環株によくマッチし、強力な防護作用を付与すると考えられる。” 

● コレラ WHO
Summary
The World Health Organization (WHO) から、2023年との比較で、2024年のコレラ感染および死亡の増加が報告された。紛争、気候変動、インフラ不足が原因とされる。水が汚染されることで感染が拡大し、アフリカ、中等、アジアに集中している。

 情報源 NigerianEye 2025年9月13日
More people die from cholera in second consecutive year - WHO
The WHO が 2024年の世界のコレラ統計 its global cholera statistics を発表し、発症した感染者と死亡ともに増加したことが示されている。それによると、2023年との比較で2024年のコレラ感染例は5%、死亡例は50%増加したと報告されている。予防と治療が可能な疾病により6000人以上が死亡した。これ自体でも警戒すべき数字であるが、実際のコレラよりも少ない。
2024年、排泄物に汚染された水により感染が拡がるコレラ菌 Vibrio cholerae の患者を報告したのは60か国で、2023年の45か国から増加した。アフリカ、中東およびアジアに集中しており、全体の98%を占める。12か国が1万例以上を報告し、うち7か国においてはじめての大規模流行が発生した。
新たに開発されたワクチン a new, innovative oral cholera vaccine (OCV), Euvichol-S が2024年の早い時期に事前承認 prequalified され備蓄 the global stockpile されている。
2025年上半期の緊急用に最低限必要な the emergency threshold 500万ドース以上確保の助けとなる。
しかしながら経口ワクチンの大量需要が続いており、2024年から始められた2回接種を1回接種にする臨時の変更は、2025年に入っても続けられている。2024年の世界中で6100万ドースの要求に対応して、16か国での単回接種キャンペーン時に4000万ドースの緊急使用が承認されている。
2025年も世界中でコレラ感染危機が続いており、年初から31か国がアウトブレイクを報告している。

● COVID-19 欧州、英国、香港、オーストラリア
Summary
This report provides updates on respiratory virus activity in the EU/EEA, the UK, Hong Kong, and Australia. 
欧州内の呼吸器疾患による受診はベースラインレベルのままであるが、SARS-CoV-2 indicators の増加がみられた。
英国では入院患者の間の COVID-19 症例の増加があり、さらに増えるおそれがある。
香港では小児の重症インフルエンザ感染例が報告されており、うち1例が COVID-19 にも感染していた。
シドニー空港の管制塔でのアウトブレイクにより、フライトの遅れが生じた。

● ハンタウイルス ウクライナ
Summary
ウクライナ国内のロシア兵がハンタウイルスに感染しており、生活環境の悪化があきらかなっている。

● ライム病 米国 (WEST VIRGINIA)
Summary
Ohio County において高頻度のライム病の発生があり、endemic levels に達している。ダニのピークは春から夏であるが、秋になっても大きな減少は期待できない。

● レジオネラ症 カナダ (ONTARIO)
Summary
the Middlesex-London region におけるレジオネラ肺炎アウトブレイクの、5例目の死亡例が報告された。Sofina Foods Inc. を含め、複数の冷却塔が関係している。

● 麻疹 米国 (WISCONSIN, GEORGIA)
Summary
both Wisconsin and Georgia 両州で麻疹が確認されている。
ウィスコンシン州の症例はすべて1つの郡で発生し、地域内の感染拡大による。
ジョージア州では、ワクチンを接種していない1人の感染が確認された。

● 水痘 ウルグアイ (TACUAREMBO)
Summary
公衆衛生省が、複数の水痘アウトブレイクを報告している。the alert zone 内での発生であると説明されている。
数年前から水痘に対するワクチン接種が可能となっており、正の影響と重症例の減少につながっている。

○ マラリア ナイジェリア
Summary
中国から取締を免れるために Diclofenac と偽って違法に持ち込まれた、偽薬の抗マラリア薬が、ナイジェリア当局  NAFDAC in Lagos, Nigeria により押収された。

食品医薬品局、ラゴスで80万米ドル相当の抗マラリア薬の偽薬押収
Key findings
・Nigeria's National Agency for Food and Drug Administration and Control (NAFDAC) seized over ₦1.2 billion (~ $800 000 USD) worth of counterfeit malaria drugs in Lagos.
・The operation highlights ongoing challenges in Nigeria’s pharmaceutical supply chain, in a context where the country bears approximately 27% of global malaria cases and 31% of malaria deaths according to the World Health Organization (WHO).
 情報源 WHO 2025年5月8日
Nigeria's multi-pronged malaria elimination approach gains momentum

● 狂犬病 タイ (BANGKOK) 
Summary
the Prawet area における狂犬病アウトブレイクの発生を受け、バンコクに緊急事態が宣言されている。30日間、指定地域での動物の移動が禁止されている。

● 東部ウマ脳炎、ウエストナイルウイルス 米国 (GEORGIA) 、ウマ
Summary
ジョージア州のウマにおいて、ウエストナイルウイルスと東部ウマ脳炎が確認されている。

○ 炭疽 ロシア
Summary
Yemelyanovsky Districtt, Krasnoyarsk Krai において9月10日、炭疽感染の1例報告された。1頭のウシで炭疽菌 Bacillus anthracis が確認され、検疫と家畜のワクチン接種が開始された。9月12日時点でヒトの感染例は報告されていない。

Krasnoyarsk Krai のウシの炭疽発生、検疫措置実施
Key findings
・9月10日、the Pervomaysky settlement, Yemelyanovsky District, Krasnoyarsk Krai, Russia において、1頭のウシの炭疽感染 a case of bovine anthrax が報告された。

○ ブルータング ハンガリー
Summary
On 10 Sep 2025, the National Food Chain Safety Office (Nébih) reported the laboratory confirmation of bluetongue virus serotype 3 (BTV-3) in cattle in Kadarkút, Somogy County. 

Detection of bluetongue virus serotype 3 in a cattle farm in Somogy County, Hungary
Key findings
・Bluetongue disease virus serotype 3 (BTV-3) has been confirmed in cattle in Kadarkút, Somogy County.
 情報源 WAOH/WAHIS 2025年9月10日