2025年9月25日

コレラ スーダン WHO、ネパール
チクングニア フランス、国内感染

○ コレラ スーダン、ネパール

スーダン
Summary
深刻なコレラアウトブレイクが急速に全国に拡大している。紛争、インフラ破壊、水質汚染、人口密集、飢餓等がこの危機を悪化させている。80%以上の医療機関が機能していない。2024年7月の流行開始以来11万を超える疑い例が発生している

スーダンのコレラ疑い例11万3600例、死者3000例超に
Key findings
・9月21日現在、スーダン国内で over 11万3 600 suspected cholera cases and more than 3000 deaths, resulting in a 2.6% case fatality rate(致死率)が報告されている。
・全国 all 18 states in Sudan に拡大; Darfur において最も深刻な影響が出ており、1万2739 suspected cases and 358 deaths reported in 36 of its 64 localities が報告されている。
・発生地域内の医療機関の80%以上が機能していない nonfunctional; Sudan’s health system is overwhelmed, and essential services are mostly unavailable.
 情報源 EMRO 2025年9月24日
Cholera vaccination campaign launched in Darfur to protect over 1.8 million people

ネパール
Summary
8月25日、南部のインド国境地域 Birgunj, Madhesh Province, southern Nepal, near the border with India で急性水様下痢症の症例の突然の増加が報告された。9月24日までに、1500例超の感染例 suspected and confirmed cases と、近郊の Pokhariya 市への感染拡大が確認されている。検査の結果、一部の検体でコレラ菌 Vibrio cholerae serotype O1 Okinawa が確認されているが、感染源は依然として不明のままである。

Madhesh Province のコレラ、短期間減少するもふたたび増加
Key findings
・Parsa district, including Birgunj Metropolitan City in Madhesh Province において、新たなコレラ感染例が、短期間減少ののち、9月22日以降、ふたたび増加していると、保健当局が明らかにした。
・増加が
・8月にはじめての感染が確認後、少なくとも4人が死亡し、over 1500 confirmed and suspected cases が入院した。
・国立公衆衛生研究所 The National Public Health Laboratory の便検体の検査で、アウトブレイクの原因がコレラ菌 Vibrio cholerae O1 Ogawa serotype と確認されている。
 情報源 Nepal Epidemiology and Disease Control Division (EDCD) 2025年9月4日

○ チクングニア フランス

Summary
フランス本土で、主にレユニオン Réunion からの輸入例の増加が要因となり、ヒトスジシマカの好適状況と相まって、チクングニアの地域内感染が拡大している。9月24日までに Grand Est などの北部も含めた複数の地域からの、500例近い国内感染例が報告されている。Antibes, Alpes-Maritimes department から報告されている最大のクラスターは、9月25日時点で103例が確認されている。

Provence-Alpes-Côte d'Azur region, France のチクングニアの最大クラスター、感染100例超に
Key findings
・Antibes, in the Provence-Alpes-Côte d'Azur region においてかつてない規模の、地域内感染のチクングニア・クラスターが発生し、9月23日時点で103例が確認。
500例近い indigenous chikungunya cases がフランス本土 mainland France since spring 2025 で報告されている。
・重症例、死亡例は報告されていないが、深刻な症状 morbidity is significant.
 情報源 Regional Health Agency (ARS)-Provence-Alpes-Côte d'Azur 2025年9月24日(in French)

● 麻疹 イスラエル
Summary
1歳児が麻疹により死亡し、今回のアウトブレイクによる4人目の死亡例となった。保健省は、有効性が低いとされる 6から11か月の乳児への麻疹ワクチン接種を承認した。12か月未満の乳児のワクチン接種は定期予防接種にはカウントされず、1歳になったあと十分な感染防御のため2回目の接種が必要となる。

● ポワッサンウイルス脳炎 米国 (ILLINOIS)
Summary
イリノイ州においてこれまで確認されたことがない、ダニが媒介するウイルスに、州の住民1名が感染した。公衆衛生当局はサーベイランスを強化し、この疾患が重症となるおそれがあることから、ダニの刺咬に注意するよう市民に呼びかけられている。

● エボラウイルス病 コンゴ民主共和国 (KASAÏ) 
Summary
The World Health Organization (WHO) が、コンゴ民主共和国の新たなエボラ感染例は減少したが、今後数週間がアウトブレイク拡大防止に重要であると報告している。アウトブレイクの発生は地理的に限局しており、ワクチン接種が精力的に行われている。

● ロッキー山紅斑熱 ブラジル (SAO PAULO) 
Summary
Itatiba の小児1名と男性1名が紅斑熱により死亡した。発熱、頭痛、体の痛み、倦怠感、紅斑などの症状がある。

○● レジオネラ症 フランス(2)、米国
フランス (AUVERGNE-RHONE-ALPES) 
Summary
near Albertville, Savoie, in the Auvergne-Rhône-Alpes region of France におけるレジオネラ症アウトブレイクにより、死者1名、集中治療室入院患者6名が発生している。9月16日から22日までの間に17例の確定例と20例の疑い例が報告されている。

Auvergne-Rhône-Alpes region のレジオネラ症クラスター、確定例17例と死亡1例
Key findings
・the Albertville area, Savoie, において9月16日から22日までの間に合計17例のレジオネラ症(レジオネラ肺炎)が報告されている。
・ほか、20 suspected cases が報告され、確定検査が行われている。
・1例の死亡と、少なくとも5例の ICU 入院が発生した。
・患者はすべて the Albertville area の住民または訪問した人々である。
 情報源 Prefect of Savoy. State Services 2025年9月24日 (in French)

Summary
the Savoie region of France のレジオネラ肺炎アウトブレイクの調査が行われている。in or near Albertville の住民が罹患しており、保健当局が感染源の特定に務めている。

米国 (IOWA)
Summary
アイオワ州 Marshalltown, Iowa で発生中のレジオネラ肺炎アウトブレイクによる、2人目の死者が報告された。感染源の調査が行われており、cooling towers が最も疑われている。

● ペスト 米国 (NEW MEXICO) 
Summary
Bernalillo County の住民のペスト感染について、ニューメキシコ州保健当局が報告した。げっ歯類の細菌による病気で、ノミの刺咬または感染動物との直接の接触によりヒトは感染する。当局は、げっ歯類との接触を避け、げっ歯類の生息エリアを清掃し、昆虫忌避剤を使用し、獣医師にペットのノミ対策を相談するなどの予防策が勧められている。ヒトが感染したときに症状として、発熱、倦怠感、食欲不振等がある。早期診断・治療が致死率を抑えるために重要である。

○ エムポックス スペイン、タンザニアから
Summary
マドリード初の、 clade lb によるエムポックスの輸入感染例が報告され、この32歳男性は最近タンザニアを訪れていた。最近 the WHO は緊急事態を解除したが、引き続きモニタリングが重要である。

マドリード初の claed Ib エムポックス、タンザニアへの旅行者
Key findings
・マドリード Madrid において its first imported mpox case, clade lb, in a 32-year-old man 確認。
・患者は8月にタンザニアを旅行し、ハイリスク性行動を行っていた。
Symptoms included fever, muscle aches, swollen lymph nodes, and a rash on the hands, face, and genitals.
・マドリードの病院で確認され、検体は the National Center for Microbiology にも送付された。

○● 黄熱 ボリビア、サル
Summary
首都ラパスから2時間足らずの自然保護区内で死亡した、非ヒト類人猿の黄熱感染がラパス保健当局 The Departmental Health Service (SEDES) La Paz により確認された。都市部にあるこの地域では初めての報告で、周辺地域の住民のリスク拡大への懸念が広がっている。

Coroico ecological reserve の霊長類の死体で黄熱ウイルス確認、ラパス都市部近郊のウイルス循環懸念
Key findings
・The La Paz Departmental Health Service (SEDES) により、Coroico 市内の自然保護区内で死亡して発見された、非ヒト霊長類の黄熱 yellow fever (epizootic) が確認され、地域内初の感染確認となった。
・死亡したサルの剖検で黄熱ウイルス感染が確定診断された。
・都市部近郊でウイルスが発見されたことになる; Coroico は首都 La Paz から2時間足らずの場所にある。
 情報源 Bolivia Departmental Health Service (SEDES) 2025年9月23日(in Spanish)

Summary
The Coroico municipality において複数のサルの黄熱が確認されており、異例の事態であることから感染拡大が疑われている。

● 腺疫 米国 (MARYLAND) 
Summary
メリーランド州のウマ1頭が腺疫検査で陽性となり、同じ厩舎の別のウマの感染が疑われている。

● 原因不明の死亡、プレーリードッグ 米国 (CO) 
Summary
コロラド州保健当局は、プレーリードッグの大量死を受けてアウトブレイクの可能性に調査を

○ ウイルス(betanodavirus)性神経壊死 スペイン
Summary
2025年、カタロニアのハタではじめてとなる betanodavirus ウイルス感染例が確認され、ウイルス性神経壊死 viral nervous necrosis (VNN) の国内北方への感染拡大が判明した。near Barcelona において9月上旬に確認され、異常な海水温の上昇がウイルスの拡大とアウトブレイク発生に関与している。

カタロニアで2025年初のハタのウイルス性神経壊死確認
 情報源 The UAB 2025年9月19日
First case of betanodavirus infection in a grouper confirmed in Catalonia in 2025

○ 流行性出血病 北米
Summary
2025年夏の終わりから秋のはじめにかけて、流行性出血病ウイルスとブルータングウイルスによる出血性疾患により、メリーランド、モンタナ、オハイオ、テネシー、ウエストバージニアを含む全米の複数州とカナダでも多数の野生シカ wild white-tailed deer の死亡が発生している。とりわけオハイオとウエストバージニア州の被害が深刻で数千頭が感染した。

米国とカナダの広い地域のシカに流行性出血病アウトブレイク発生

○ 狂犬病 スペイン
Summary
2025年9月、Melilla(モロッコから輸入されたイヌ)と Ceuta(小児1名を襲った野犬)の狂犬病が確認された。
 情報源 WOAH/WAHIS 2025年9月23日
Ceuta - Rabies virus (Inf. with) - Immediate notification