2025年9月7日

リケッチア・ロッキー山紅斑熱 メキシコ、カナダ
トリパノソーマ症(シャーガス病) 米国

○● リケッチア・ロッキー山紅斑熱 メキシコ、カナダ

メキシコ
Summary
リケッチア症、とりわけロッキー山紅斑熱は、依然としてメキシコ国内の特に北部の州において、深刻な公衆衛生上の懸念事項となっている。

Rickettsiosis in northwestern Mexico: rising cases in Sinaloa and high case fatality rate in Sonora
Key Findings
Sinaloa 州において2025年、33例のリケッチア症患者 confirmed cases of rickettsiosis が報告されており、すでに2024年の年間報告数を超えている。小児4人が感染し、うち3人が集中治療を受けた。
Sonora 州の公式疫学データ (SE 35, 2025) では 66 cases, including 27 deaths が示され、致死率が 41% に達している。
・2つの州で確認された主な病原体は Rickettsia rickettsii で、ダニ刺咬により伝播される。Sinaloa 州では散発例 Sporadic cases の Rickettsia typhi and Rickettsia felis も報告されているが、現行のアウトブレイクは主に R. rickettsii による感染である。
・ホットスポット Identified hotspots として Ejido El Quemadito in Sinaloa and municipalities such as Guaymas, Hermosillo, Navojoa, and Etchojoa in Sonora が確認されている。
・Sinaloa 州ではデング熱やアレルギーと誤って診断され、適切な治療の遅れがみられる。
・8月の高湿環境により、両州全域でダニが増殖した。

カナダ (SASKATCHEWAN)
Summary
発熱と発疹がみられた Saskatchewan 州の男性1名がロッキー山紅斑熱と診断された。ダニが媒介するまれな細菌による感染症で、抗生物質により治療される。ほとんどの場合回復するが、治療を受けない場合は死亡するおそれがある。この地域には、この病気を保有するダニが生息することが改めて示された。

● トリパノソーマ症(シャーガス病) 米国 (TEXAS)

Summary
寄生虫感染症のシャーガス病は、米国を含めた南北アメリカで確認されており、米国では南部州において吸血昆虫が媒介し、感染のある虫の糞が体内に入ると感染する。研究者らは、疾患の分類を変更し、医療従事者による管理と知識の改善を目指すことを提唱している。現在ワクチンはなく、行える治療の有効性は病初期に限られている。

● 食中毒 アゼルバイジャン、ベトナム、米国
アゼルバイジャン (ASTARA)
Summary
Astara, Azerbaijan でグループの人々が胃腸症状で入院となり、スイカが原因とみられていたが、詳しい調査でうちわの結婚式で出された食事が原因と判明した。

ベトナム (GIA LAI)
Summary
ベトナムの生徒らが、カエル肉を食べたあとに食中毒を発症し入院した。10歳から14歳までの学生らが肉を食べてまもなく発症し、現地の病院に搬送された。一部は退院し、残りは観察が続けられているが状態は安定している。

米国
Summary
輸入された冷凍エビの放射性物質による汚染があり、回収および輸入の注意喚起が行われた。インドネシアの工業地帯内の金属溶融施設が汚染源とみられている。食品医薬品局が、各店舗で販売されていた冷凍エビでセシウム137 が検出され回収された。健康保護レベル以下ではあったが、この業者による輸入の差し止めの注意 an import alert を発出した。専門家は、今回の汚染は医療器具の再利用 recycled medical equipment が原因ではないかと述べている。

● 麻疹 イスラエル
Summary
New York から Tel Aviv を旅行した麻疹感染の患者について、保健省が市民に注意を呼びかけている。このフライトの搭乗客らに対し、ワクチンの接種状況を確認するようアドバイスされている。

● A型肝炎 チェコ共和国 (PRAGUE) 
Summary
プラハにおいて、およそこの20年間で最悪の深刻な A型肝炎アウトブレイクが発生している。市当局は公共エリアの清掃などの、衛生保持の努力を強化している。医療機関から重症例が報告されており、ワクチン接種の必要性が強調されている。

○ 炭疽 カザフスタン
Summary
Between June 17 and July 4, 2025 の期間に、the Atbasar district of the Akmola Region において炭疽アウトブレイクが確認された。動物及びヒトの感染が発生し、1か所の人獣共通感染源が特定され、4頭のウシの死亡が確認された。13例のヒトの感染が確認された。

The details of the anthrax outbreak in the Atbasar district of the Akmola Region in Kazakhstan were announced including final case numbers
Key Findings
・the Atbasar district of the Akmola Region in Kazakhstan における炭疽アウトブレイクについて獣医学当局者 the head of the veterinary department of the Akmola region が明らかにした。
・4頭のウシが死亡し、他6頭が処分され、2万頭あまりに緊急ワクチン接種が指示された。
・13人の感染が確認され、81 close contacts placed under medical surveillance の監視が行われている。

○ エムポックス PHEC 解除
Summary
WHO: エムポックスは、とりわけアフリカの発生国において、持続的な感染及び死亡の減少がみられ、もはや公衆衛生上の国際的に懸念すべき緊急事態を脱した。
Key Findings
・エムポックスについて The World Health Organization (WHO) は、特にアフリカの発生国において持続的に感染と死亡が減少していることから、もはや a public health emergency of international concern (PHEIC) と考えていない。
・緊急事態は解除されたが、エムポックスは依然として公衆衛生上の懸念事項であり、the Africa CDC は4日 a continental emergency のままであると宣言した。
 情報源 WHO 2025年9月5日

○ 新型へニパウイルス オーストラリア、コウモリ
Salt Gully virus, a novel henipavirus isolated from Pteropid bats with ability to infect human cells in vitro was identified in Australia
Key Findings:
・Virus Identification: 新たなヘニパウイルス A novel henipavirus, designated Salt Gully virus (SGV) が、オーストラリア Boonah, Queensland, Australia で捕獲されたオオコウモリの尿 pteropid bat urine samples で発見された。
・サンプルが採取されたのは Australia in 2011 で、捕獲された場所に因んで Salt Gully virus と命名された。
・Genetic Characteristics(遺伝子): Full length genome sequencing revealed a genome structure typical of henipaviruses, with 6 distinct open reading frames, encoding six proteins.
・Phylogenetic Analysis(系統発生解析): SGV was found to be most closely related to Angavokely virus (AngV), a henipavirus previously detected in Madagascar in 2022, with a 38% genetic similarity to Hendra virus (HeV) and Nipah virus (NiV).
・Host Cell Infection: SGV infected various cell lines, including human HeLa cells, pteropid bat cells, and Vero cells, but did not infect equine or porcine cells, suggesting a more limited species tropism compared to other henipaviruses.
 情報源 EID 2025年9月4日
 原著 Novel Henipavirus, Salt Gully Virus, Isolated from Pteropid Bats, Australia
Abstract
オーストラリアのコウモリから新型へニパウイルス a novel henipavirus, designated Salt Gully virus, from the urine of pteropid bats in Australia を発見し特徴を明らかにした。
Angavokely virus と最も近い関係にあり、細胞への侵入に ephrin レセプターを必要とせず not reliant on ephrin receptors for cell entry、ヒトに対する病原性については不明である。

○ ボツリヌス症 英国、ウシ
Summary
Essex, Northamptonshire, and Shropshire のウシが、ボツリヌス症アウトブレイクにより感染し、多数の死亡および処分が発生した。感染源は動物用の飼料と確認され、市場から回収された。

Botulism outbreak in UK cattle linked to contaminated feed
Key Findings
・An outbreak of botulism is reported among cattle in rural areas across Essex, Northamptonshire, and Shropshire in the UK.
・There is no immediate risk to human health as per current assessments by the authorities.
  情報源 BBC 2025年9月5日
'Life-threatening' botulism disease found in cattle