エボラウイルス病 コンゴ民主共和国
ラルストニア・ピッケティ Ralstonia pickettii ペルー
○ エボラウイルス病 コンゴ民主共和国
Summary
28人の感染が疑われ15人の死亡が確認された Kasaï Province において、エボラウイルス病アウトブレイクの発生が宣言されたと、WHO-AFRO (in French) から発表された。9月4日に報告され、医療従事者4人も含まれている。アウトブレイクが発生しているのは the Bulape and Mweka health zones in Kasaï Province で、保健当局により、発熱、嘔吐、下痢、出血等の症状のある患者及び死亡例が調査されている。首都キンシャサの国立研究所 the National Institute for Biomedical Research (INRB) において9月3日に解析された検体で、アウトブレイクの原因がエボラウイルス病と確認された。遺伝子解析により a new spillover event であることが示唆されている。
Key Findings
Total suspected cases: 32 (as of 06 Sept 2025)
Total confirmed cases: 5
New suspected cases (06 Sept): 4
Cumulative deaths: 15 (Case Fatality Rate: 38%)
Active cases in care: 9 (6 male, 3 female)
Contacts listed: 157
Contacts under follow-up: 19.1%
Risk level: High
情報源 National Public Health Emergency Operations Center (COUSP). Ebola Virus Disease Situation Report Sitrep MVE No. 002/MVE_16/2025. 06 Sep 2025
○● ラルストニア・ピッケティ Ralstonia pickettii infection ペルー
Summary
Between 19 Jul and 23 Aug 2025 の期間に、リマの医療施設 [?、国立衛生研究所] the Instituto Nacional de Salud del Niño de San Borja in Lima, Peru 内の、免疫機能に問題のある小児12人がラルストニアに感染した。広範囲の環境サンプリングと隔離措置にもかかわらず、感染源は不明である。8月23日以降、新たな感染例は確認されていない。
Key findings
・2025年7月19日から8月23日の間に、the Instituto Nacional de Salud del Niño de San Borja において、12人の小児患者 Ralstonia pickettii に感染した。水系感染性の細菌で免疫不全がある場合は感染することがある。
・3人の小児が死亡したが、病院側は感染症ではなく持病が死亡の原因と説明している。
・感染のあった患者は生後8か月から10歳までの、いずれも免疫不全があり重症治療部門: cardiovascular ICU, pediatric ICU, and burn ICU に入院中だった。
・60件以上の環境及び医療器具サンプルが採取されたが、感染源は確認されていない。
Summary
ある病院の集中治療室で発生した小児患者の感染症アウトブレイクの調査が行われている。
● 発疹熱 米国 (TEXAS)
Summary
ノミが媒介するほぼ根絶されていたチフスが、テキサス州で再興している。ノミによって感染が拡大するこの疾患は、従来の発生地域を越えて拡がっている。気候変動でノミの好適条件が生まれたことなどが、再び発生した原因と考えられている。San Antonio では以前行われていた DDT の使用が検討されている。現在の推奨事項は、ペットのノミ対策、庭の清掃、原因不明の発熱時の受診などである。
● マイコプラズマ症 HEMOTROPIC MYCOPLASMA スペイン
Summary
スペインの免疫不全の小児らの、コウモリ由来のマイコプラズマ bat-related hemotropic mycoplasmas の保有についての報告。小児患者の血液検体の解析により、少数のサンプルでこの細菌が確認され、コウモリで発見された菌と近い関係にあった。
情報源 Emerging Infectious Diseases(EID) 2025年9月8日
原著 Esperon F, Martinn-Maldonado B, Iglesias I, et al.: Bat-associated hemotropic mycoplasmas in immunosuppressed children, Spain, 2024. Emerg Infect Dis. 2025 Oct [early access].
ヘモトロピック・マイコプラズマ Hemotropic mycoplasmas (hemoplasmas) は、小型で細胞壁を持たず、赤血球細胞に接着する細菌で、免疫が低下したほ乳類の溶血性貧血の原因となる。獣医学関係では、ネコの Mycoplasma hemofelis in cats とヒツジの M. ovis in sheep が多く報告されている。ヒトの感染例はまれであるが、免疫抑制もしくは人獣共通感染症の曝露に関係して報告されている。
複数種のヒトの感染 human infections with multiple hemoplasma species, including Candidatus Mycoplasma hematominutum and M. ovis の分子学的証拠が示されており、ニューカレドニア、日本、フランスおよび英国から、コウモリ由来と考えられる Candidatus Mycoplasma hematohominis のヒトの感染例が報告されている; フランスと英国の感染例はオーストラリア起源とみられる。
Candidatus M. hematohominis は、オオコウモリ溶血熱 flying fox hemolytic fever と呼ばれる疾患の原因となり、Pteropus bats コウモリが保有する; 蔓延率 reported overall prevalence は 40% と報告されている。ヒトの典型的な症状は、貧血、発熱、筋力低下 asthenia、腹痛、体重減少である。
スペインの免疫が低下した小児とそのペットの人獣共通感染症病原体について調べた研究That cross-sectional study が、小児の移植および免疫不全患者の施設 a national reference center for pediatric transplantation and immunocompromised children において行われた。この研究の対象には、自宅にイヌかネコを飼育するスペインの20歳未満の患者で、固形臓器か造血幹細胞の移植、もしくは先天性免疫異常、またはがんやリウマチ疾患などで免疫抑制もしくは抗がん剤治療を受けている患者が含まれている。
● ビブリオ症 トルコ
Summary
トルコへの旅行者から、海水浴後の症状が報告されており、ビブリオ菌が疑われている。複数種のビブリオ菌の関与が懸念されており、中には傷の曝露や生のシーフード摂取により重症となる可能性のある菌も含まれている。嘔吐、体力低下、発熱などの症状が含まれている。専門家はリスクは最小限とみているが、これらの菌は水温が高い場所に多く存在し、特に免疫が低下した人々では重症感染症となるおそれがあるとして注意を呼びかけている。
● 食中毒 英国 (ENGLAND)
Summary
多数の客らが体調を崩して医療機関を受診したことから、インド料理レストランが営業を停止している。調査を行った当局は、提供された食品に対するアレルギーとみている。
● 蝿蛆症 メキシコ (YUCATAN)
Summary
保健当局 The Yucatán Health Secretariat が、2例目のヒトのラセンウジバエによる蝿蛆症を確認した。Progreso の男性患者で、治療後退院となった。1例目の患者は a resident of Izamal であった。
● 結核 米国 (NORTH CAROLINA)
Summary
高校 a Wake County high school において、活動性結核の患者1例が確認された。
○● 腸管出血性大腸菌 EHEC ドイツ
Summary
まれな型の大腸菌 (O45:H2) によるアウトブレイクが発生し、主として Mecklenburg–Western Pomerania において45例が感染し、他州でこれに関連する二次感染例が確認されている。複数の小児が溶血性尿毒症症候群を発症し、集中治療と透析が必要となったが死亡例は報告されていない。感染源の調査が続けられているが、食品及び環境検体の検査で関連が確認されたものはない。
EHEC outbreak in Mecklenburg–Western Pomerania: outbreak strain identified as E.coli O45:H2 serotype; 45 cases with 12 children who developed hemolytic uremic syndrome reported as of 08 Sep 2025
Key Findings
・ドイツ国内でまれな大腸菌による感染症アウトブレイクが発生し、45例の感染 confirmed cases が主に Mecklenburg–Western Pomerania で報告されているほか、同州への旅行後の感染例も報告されている。
・The outbreak strain は E. coli O45:H2 と確認され、ドイツ国内ではまれなタイプ a rare subtype であり、様々な合併症を伴う。
・少なくとも12例の hemolytic uremic syndrome (HUS) が報告されている。
・The exact source of infection remains unclear.
情報源 Food Safety News 2025年9月8日
Rare E. coli type behind German outbreak
Source still unknown
Summary
ドイツ国内で、まれな型の大腸菌によるアウトブレイクが発生している。この特殊な菌の分離が続いており、より詳しい状況の解析が行われている。ベルギーの大腸菌感染症の事例と、今回のアウトブレイクは別個のものである。患者への聞き取りやサンプル検査など、アウトブレイクの原因調査が行われている。
● ハンセン病 インド (TAMIL NADU)
Summary
the Trichy district において、2027年までのハンセン病根絶のための努力が続けられている。スクリーニングキャンペーンは、第1期を終え、次の段階が計画されている。
● ジカウイルス メキシコ (VERACRUZ)
Summary
2025年、the state of Veracruz において新たなジカウイルス感染例1例が確認され、2015年からの累積患者数が一定数 a certain number に達した。同州では between 2015 and 2025 に妊婦のジカウイルス感染も記録されているが、今年については報告されていない。全国の患者数が報告されており、2025年は one in Veracruz and another in Michoacán の2例が報告されている。
○ ヒキガエル肉・食中毒 ベトナム
Summary
少数民族 the Jarai ethnic minority in Gia Lai Province, Viet Nam の生徒9人が、ヒキガエル肉食中毒の症状で入院となった。直近のリスクは収まったが、過去には死者も発生しており、今後も教育と注意が必要である。
Toad poisoning in Gia Lai Province, Viet Nam. Nine students hospitalized for emergency care
Key findings
・Gia Lai Province, Vietnam の生徒9人が、ヒキガエル肉 toad meat を食べた後に入院した。
・10歳から14歳までの生徒らが、嘔気、腹痛、呼吸困難、しびれの症状を発症した。
・両親が働きに出ている間に、農村部 a rural area の少数民族 the Jarai ethnic minority の間で発生した。
○ ロッキー山紅斑熱 カナダ
Summary
2025年、Quebec and Saskatchewan 両州において、ロッキー山紅斑熱の地域内感染 locally acquired cases of Rocky Mountain spotted fever (RMSF) が報告され、カナダ国内の感染リスク地域が北方と東方に拡大している。別個のまれな歩哨イベントではあるが、感染性を有するベクターの the American dog tick などのダニが存在し、これまで感染リスクが低いと考えられていた地域の公衆衛生状況に変化の兆しであることを示している。
A rare human case of Rocky Mountain Spotted Fever has been confirmed in Prince Albert, Saskatchewan, Canada.
Key Findings
・A rare case of RMSF was confirmed in Prince Albert, Saskatchewan, Canada.
・患者は a Prince Albert resident で2025年6月に発症した。
・注目すべき点として、感染のあった場所は、カナダ国内の従来の感染リスク the typical risk areas for Rocky Mountain spotted fever (RMSF) よりも標高が高い、Emma Lake と考えられている。
・突然の悪寒、身体の痛み、嘔気、嘔吐、発熱、extreme lethargy(強い倦怠感)などの症状が3日間続いた後に、体中に赤い斑点 a red, spotted rash が出現した。
・当局 Official Saskatchewan surveillance data によると、州内でもっとも多く確認されるダニは the American dog tick (D. variabilis) であり、今回の感染のベクターであった可能性が高い。
・The causative agent is Rickettsia rickettsii.
情報源 CBC News 2025年9月4日
Rare case of Rocky Mountain spotted fever confirmed in Sask.
Prince Albert man recovering after treatment for tick-borne illness
○ 狂犬病 インド
Summary
インド最高裁が、野犬対策 its policy on stray dogs を更新し、ワクチン接種と不妊処置を行ったイヌを放すことが許可されることとなった。一方、狂犬病または攻撃性のあるイヌは収容しなければならない。
India's Supreme Court revises stray dog policy amid rabies concerns
Key findings
India's Supreme Court has revised its order regarding stray dogs, permitting vaccinated and sterilized dogs to be released instead of being confined.
情報源 BBC 2025年8月22日
● ブドウの病気、PIERCE'S DISEASE 米国 (VIRGINIA)
Summary
バージニア州のワイン産業が気候変動との闘いを続けている。暖冬によりバッタ leafhoppers の数が増え、ブドウにとって致死的な病気が蔓延している。収穫量とオーナーの収入に深刻な影響がある。解決策は病気に耐性のある品種に植え替えることだが、時間と資金が必要となる。
● リンゴの病気、そうか病 インド (JAMMU AND KASHMIR)
Summary
southern Kashmir の果樹園において、豪雨のあと、リンゴのそうか病アウトブレイクが発生している。消毒作業を行っていなかった場所ではアウトブレイクの深刻さが増している。alternaria leaf blotch の問題に続く、今回のアウトブレイクの発生となった。
● 流行性出血病 米国、シカ (MICHIGAN)
Summary
ミシガン州野生動物当局者が、州内のシカの流行性出血病感染を確認した。biting flies により伝播され、晩夏から初秋にかけてもっとも蔓延する。感染したシカは、lethargy、失見当識、浮腫などの症状を発症する。死亡する可能性もあるが、生存すれば免疫を獲得する。病気のシカの肉は食べないよう呼びかけられているが、一方、発生地域であっても健康なシカの肉は食べても安全であると説明されている。
○ 高病原性鳥インフルエンザ スペイン
Summary
スペイン国内の複数の地域で、高病原性鳥インフルエンザ HPAI H5N1 の感染拡大が続いており、家きんと野鳥のいずれにおいても新たなアウトブレイクの発生が確認されている。